◇散骨とは？費用相場や手続き、永代供養との違いまで徹底解説
供養の多様化が進んだ今、新しい供養の方法として散骨が注目されるようになりました。
散骨とは、遺骨をお墓に埋葬するのではなく、自然に還す供養の方法です。
今回の記事では、散骨に関する基本的な知識や永代供養との違いについて、詳しく解説します。
散骨に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
散骨は自然葬の一種であり、お墓に遺骨を埋葬するのではなく海や山など自然の中に遺骨を撒いて供養をします。
散骨後の遺骨は残らないことから、「死後は自然に還りたい」と考えている方から人気を集めるようになりました。
このような理由から、現在では多くの散骨業者が散骨をサポートしています。
年々散骨の人気が高まっている理由には、お墓を親族で守り続けるような暮らしが現代の生活にマッチしにくくなってきたという点があります。
核家族化と少子化が進んだ今では、地方にあるお墓を管理すること・子孫に引き継いでいくことのハードルが高くなったのです。
現段階では散骨に関係する法律は存在しません。
遺骨の扱いについてまとめた法律である「墓地・埋葬等に関する法律」では、遺骨は「都道府県知事が認めた、墓地以外に埋葬してはならない」と定めているものの、散骨は『埋葬』には該当しないためです。
ただし、遺骨をそのまま撒いてしまうと、刑法にある「遺体遺棄罪」に問われてしまいます。
散骨は、遺骨を2mm以下の粉状に粉砕して、遺骨が形を留めない状態で実施しなければいけません。
散骨には次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット・デメリットを比較して、散骨が家族に適した供養の方法であるか考えてみてください。
散骨のメリットは、次のようなものです。
お墓を建てるためには100万円以上の費用がかかるケースが多いです。
また、お墓を含む散骨以外の供養方法では、継続して維持費がかかってしまいます。
もちろん、散骨には遺骨を粉砕する費用や散骨業者に散骨を依頼する費用がかかりますが、その他の供養の方法と比較して手頃な価格であると言えるでしょう。
散骨後の維持費も発生しません。
散骨にかかる費用の相場については、後半でご説明します。
お墓を持たない選択をすることで、子孫は居場所に縛られない生き方ができるようになります。
お墓の管理に頭を悩ませずに済み、自分が住みたい場所で暮らせるのです。
核家族化や少子化が進んだ今では、お墓の管理が残された子孫に重い負担をかけてしまう可能性があることを知っておきましょう。
故人が自ら散骨を望んでいた場合、供養の方法に散骨を選ぶことで故人の意思を尊重できます。
特に自然を愛する方・死後は自然に還りたいと考えている方は、散骨を希望するケースが多いです。
散骨にはメリットのみでなく以下のようなデメリットも存在します。
一度散骨した遺骨を取り戻すことは不可能です。
散骨後に手元に遺骨が残らず寂しさや喪失感に悩む可能性がある方は、全ての遺骨を散骨するのではなく、遺骨の一部を手元に残す手元供養も併用すると良いでしょう。
散骨をしてお墓がなくなるまたは初めからお墓を用意しない方は、「手を合わせる対象がない」と感じるケースもあるようです。
散骨では墓標は残りませんが、散骨した場所や散骨した方向に向けて手を合わせ、故人を思う習慣をつけている方も多いです。
散骨は比較的新しい供養の方法であり、親族の中から反対意見が出る可能性があります。
お互いの意見に折り合いがつかない時には、分骨をして一部の遺骨を埋葬または手元供養し、残りの遺骨を散骨するという手段も選択できます。
先ほどもお伝えしたように散骨は法律で定められた行為ではないことから、個人で実施することも可能です。
しかし、ルールを守らなければ刑法に触れてしまう・何らかのトラブルに巻き込まれてしまうリスクが存在します。
また、特に海洋散骨を希望する場合には、船のチャーターなど業者に任せた方がコストは下がる・スムーズに話が進むケースが多いです。
このような理由から、散骨は専門業者に依頼することをおすすめします。
散骨の専門業者は、散骨に必要な知識と最新の情報を把握しています。
ここでは、代表的な散骨先の種類をまとめました。
自分たちに適した散骨先はどこか考えてみてください。
最も一般的な散骨方法で、船に乗って岸から離れた海に遺骨を撒きます。
個別に船を一隻チャーターする個別散骨・複数の遺族が同じ船に乗って散骨をする合同散骨・業者に散骨自体を任せる代行散骨があり、それぞれコストが異なります。
海には所有者がいないため自由に散骨ができるように感じますが、海辺・養殖場などは避けた上でルールを遵守した散骨をしなければいけません。
散骨業者では、そのようなルールも十分に理解した上で海洋散骨を実施しています。
山林に散骨をする方法であり、個人でも実施しやすいです。
しかし、土地には必ず所有者がいることから、所有者の許可を得るまたは自分が所有する土地を使う必要があります。
さらに、自治体が散骨を禁止しているエリアで散骨をしてはいけない・周辺住民への配慮が必要などの注意点も存在します。
散骨業者で実施する山林散骨では、ルールを遵守した散骨先を業者が所有しているケースが多いです。
山林散骨も海洋散骨と同じように、代行散骨を依頼できる業者もあります。
バルーンを使用する・ロケットを飛ばすなどの方法で、遺骨を宇宙に放出します。
空や宇宙に興味があった方の散骨方法として人気を集めていますが、他の散骨方法と比較して割高です。
散骨にかかる費用の相場を一覧にしました。
散骨方法を検討する時には、必要なコストも把握しておいてください。
|
散骨方法 |
費用相場 |
|
海洋散骨 |
個別散骨：10万円〜50万円 合同散骨：10万円〜20万円 代理散骨：5万円〜10万円 |
|
山林散骨 |
個別立会散骨：10万円〜20万円 代行散骨：3万円〜10万円 |
|
宇宙散骨 |
バルーン散骨：20万円〜 ロケット散骨：50万円〜 |
選択する散骨方法により、散骨にかかる費用は3〜50万円以上になることが分かります。
散骨を決めた後から散骨を済ませるまでの流れは、以下のようなものです。
散骨までのスケジュールをイメージしておくと良いでしょう。
まずは、散骨を依頼する散骨業者を決定します。
希望する散骨方法に対応しているか・親身な対応をしてくれるか・適正価格であるかなどの点をチェックし、複数業者を比較検討すると良いでしょう。
散骨業者が決定したら、散骨前に遺骨を2mm以下の粉状に粉骨します。
粉骨は自分で行うことも不可能ではありませんが、心理的な負担が重いこと・2mm以下というルールが定められていることから、専門業者に依頼するべきです。
粉骨は粉骨専門業者または散骨業者に依頼できます。
海洋散骨・山林散骨・空中散骨など、散骨方法の中から散骨方法を選択します。
また、同じ散骨方法でも個別／合同散骨・代行委託散骨が選択できるケースもあるため、自分たちに適した散骨方法を選べるようにしましょう。
予定した日時で散骨を実施します。
業者からは集合場所と日時が知らされるため、事前にチェックしておきましょう。
代行散骨の場合は事前に遺骨を業者に託します。その後、散骨時の様子を写真や動画で受け取れるケースが多いです。
散骨後にセレモニーや食事会を開くことも可能です。
散骨を実施するタイミングにルールはありません。
しかし多くのケースで散骨のタイミングは、火葬後の散骨または墓じまいを理由とする散骨に分けられます。
故人が亡くなった後すぐに散骨を決めた場合には、火葬後に遺骨を粉骨した上で散骨をします。
散骨業者との契約では、以下のような書類が必要になるでしょう。
散骨業者に粉骨作業も依頼すれば、スムーズに話を進められます。
すでに遺骨をお墓に埋葬した後に散骨を決めた場合や、墓じまいをして埋葬されていた遺骨を取り出した上で散骨をする時には、散骨以外に墓じまいの手続きが必要です。
墓じまいには、以下の書類が必要です。
必要な書類は、散骨業者と相談しながら用意すると良いでしょう。
散骨業者との契約には、申込書や依頼書など以外に役所で発行される改葬許可証も提出します。
お墓から取り出した遺骨は洗浄・乾燥させた後に粉骨することで、散骨できる状態になります。
また、墓じまいに必要な手続き・書類はお墓がある場所の自治体によって異なる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
散骨は、次のような方・ご家族におすすめできる供養の方法です。
自分自身が散骨で弔われたいと考えている場合には、事前に家族と話し合っておきましょう。
生前に自ら供養の方法を決めておけば、自分の理想通りの供養をしてもらえる可能性が高くなります。
散骨は散骨後に子孫に負担がかからない供養の方法です。同じように、永続的な供養方法として永代供養が存在します。
この章では、永代供養と散骨の違いについて詳しく説明します。
永代供養は家族や親族ではなく、寺院・霊園が永代にわたって故人の遺骨を管理する埋葬方法を指します。
散骨と同じように、お墓の管理に負担がなくなる・お墓を継ぐ人がいなくても問題ないなどのメリットがあり、一般的なお墓と比較して維持費を抑えられるケースが多いです。
永代供養と散骨には以下のような類似点があります。
しかし、永代供養では遺骨を自然に撒くのではなく、それぞれ遺族が選択した方法で安置するのです。永代供養の散骨の明確な違いは遺骨の扱いだと言えます。
また、永代供養はどのようなプランを選択しても墓標が存在することから、親族が手を合わせる対象を残せます。
永代供養にかかる費用の相場は、以下を参考にしてください。
永代供養は、選択するプランによって必要なコストが大きく異なります。
骨壷を安置して個別に納骨されます。家族単位での安置が可能なことから、他の永代供養の方法と比較して高額になります。
一定期間を過ぎた後は、合祀されるケースが多いです。
共有スペースに複数の骨壷を安置します。こちらも一定期間が経過した後は合祀になるケースが多いでしょう。
遺骨を骨壷から出して他の人の遺骨と一緒に納骨します。その他の永代供養方法と比較して手頃な価格で供養ができます。
永代供養の方法は多岐に渡り、遺族が予算や希望に合わせて選択できます。
ここでは、代表的な永代供養の方法をまとめました。
個別墓は永代供養であるものの、お墓のように墓石を用意して故人を単独で埋葬します。
お墓参りがしやすいというメリットはありますが、永代供養の中でも特に割高です。
対して集合墓は、骨壷に入った状態の遺骨を複数並べて安置・供養します。
個別墓と比べて費用を抑えられますが、お盆やお彼岸の時期はお墓参りが混み合う傾向があります。
多くの人の遺骨を一箇所で土に還して埋葬します。
永代供養の中でも費用が安く、墓じまい後の複数の遺骨を供養するために利用する方も多いです。
個別墓・集合墓で一定期間経過安置された遺骨も、最終的に合祀墓・合葬墓に入ります。
樹木を墓標として遺骨を埋葬する方法であり、癒しを感じられる供養の方法として近年人気を集めています。
遺骨を土に還す合祀タイプと、骨壷に入れた状態で埋葬するタイプがあり、それぞれ費用なコストが異なります。
骨壷を使用した個別タイプでは管理費が必要になる可能性があるでしょう。
納骨堂は室内にある個別墓のことで、ロッカー型・位牌型・仏壇型などさまざまなスタイルがあります。
季節や天候に左右されずにお墓参りができる・比較的お墓参りしやすい立地にあるなどのメリットから、定番人気の永代供養墓として知られています。
建物の維持のために管理費・維持費が必要になるケースが多いものの、契約プランも多様です。
散骨とは、遺骨を粉状にして海・山・空など自然の中に撒いて供養することを指します。
「死後は自然に還りたい」と考えている方から人気を集めており、お墓の管理費がかからない・お墓の継承者に負担がかからないなどのメリットも存在します。
生前に自分の供養の方法を決めておけば、残された親族の負担を少なくできるでしょう。
散骨に興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち（エンディング）を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
故人様だけでなく、ご家族様の想いにも寄り添った、散骨プランをご提案いたします。
お問い合わせ
お問合せ