◇自宅の庭に散骨はできるの?条件や注意点について
「先祖代々のお墓があるけれど、なかなかお参りに行く暇がない」
「故人を近くに感じていたい」
そういった悩みがある方で、自宅の庭へ散骨することを考えたことはありませんか。
「自宅の庭に骨を撒くなんて、違法にならないの?」と心配になるかもしれません。
しかし一定の条件さえ満たせば、自宅の庭へ散骨することはできます。
この記事では、自宅の庭に散骨するための条件や注意点について解説します。
これから自宅の庭へ散骨しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
散骨とは、遺骨を撒いて供養する方法です。
これまではお墓を建てて、遺骨を埋葬する方法が一般的でしたが、時代背景の変化から、散骨を選ぶ人も増えています。
理由の一つとして、少子高齢化などの影響で、お墓を受け継ぐ人が減ってきているためです。
また子供がいたとしても、仕事や家庭の都合で地元を離れる人が多いため、お墓を管理する人がいないことから、散骨したいと考える方が増えています。
散骨といえば、海に遺骨を撒くイメージがあるかもしれません。
しかし近年では、自宅の庭に散骨したいと思う人が増えています。
ここでは、自宅に散骨する人が増えた理由についてまとめています。
自宅の庭で散骨を検討する方の一番の理由は、故人を傍に感じられるためです。
海や山といった自然の中に散骨すると、遺骨が手元に残りません。
お墓もなくお花を供えたり手を合わせたりできないことから、散骨した後に寂しく感じる方もいるようです。
しかし自宅の庭であれば、いつでも故人を傍に感じることができます。
海や空中で散骨する場合、業者へ依頼したり、船や飛行機をチャーターする必要があるため、どうしても費用がかかります。
しかし自宅の庭に撒くのであれば、乗り物を用意する必要はありません。
自分の手で撒けば良いだけなので、費用を安く抑えることができます。
散骨はどこで行っていいわけではなく、散骨する場所が決まっているため、海や空中での散骨となると、遠出しなければいけません。
もし高齢の方が「自分の手で撒きたい」と希望された場合、移動距離が長いとなかなか難しいでしょう。
自宅であれば手間がかからず、誰でも気軽に散骨できるのが魅力です。
自宅に散骨するのであれば「仏壇で良いのでは?」と感じる方がいるかもしれません。
しかし仏壇もお墓ほどではありませんが、管理が必要なものです。
ほこりを取ったりお花を変えたりと、日々の管理が必要になります。
また仏壇を管理している人が亡くなった場合、安易に処分することができません。
親族の誰かが、仏壇を引き継がなくてはいけないでしょう。
散骨であれば、後継者の心配がいらないことがメリットと言えるでしょう。
通常はお墓に埋める遺骨ですが、自宅の庭での散骨は、法律違反に当たらないのか心配になる方は多いでしょう。
結論からいうと、庭への散骨は合法でも違法でもありません。
なぜなら日本には散骨に関する法律がないためです。
庭に散骨するため、「遺体遺棄罪に当たらないのか?」と思う方もいるでしょう。
遺体遺棄罪とは、死体や遺骨を棄ててはいけないという法律です。
「遺体遺棄罪」
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。
引用元:刑法第百九十条
以前は「散骨は遺体遺棄にあたるので違法ではないか?」という意見が出たこともあります。
しかし1991年、法務省が「節度をもって葬送の一つとして行われる限り、散骨は違法ではない」というコメントを出しました。
非公式のコメントではありますが、法務省の見解では「散骨は遺体遺棄罪に当たらない」という認識となっています。
散骨は、法律違反ではありません。
だからといって、無闇に行って良いというものでもありません。
ここでは、自宅の庭に散骨をする際の条件について解説します。
他人の土地に勝手に散骨してはいけません。
自宅であっても、賃貸の場合は散骨してはいけません。
自分にとっては大切な人の遺骨ですが、他人にとっては知らない人の遺骨です。
他人の遺骨を自分の土地に撒かれることを良く思わない方もいるでしょう。
散骨するのであれば、自分の所有する土地で行いましょう。
散骨する際は、遺骨をパウダー状に粉骨しなくてはなりません。
骨の形が分かる状態で撒いてしまうと、事件化する恐れがあるためです。
遺骨は2mm以下のパウダー状にすることが望ましいとされています。
粉骨は道具さえあれば、自分でも作業できます。
しかし骨を砕くのは思ったよりも重労働な上、遺族の精神的な負担がかかる作業です。
自分で作業することに抵抗のある方は、無理をせず業者へ依頼することをおすすめします。
自宅の庭に散骨するには、周りへの配慮など注意するべき点があります。
ここでは、散骨する際の注意点についてまとめています。
散骨に関する法律はありません。
しかし自治体によっては、条例で散骨を禁止している地区があります。
例えば、北海道長沼町では「長沼町さわやか環境づくり条例」が平成17年に制定されており、第11条により「墓地以外で焼骨を散布してはならない」という定めがあります。
そのため自宅の庭で散骨した場合は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金となります。
このように自治体によっては散骨が禁止されている地域があります。
自宅の庭で散骨する場合は、住んでいる自治体の条例を事前に調べておきましょう。
埋葬に関する法律では、遺骨を墓地以外に埋葬してはいけないと定められています。
「墓地、埋葬等に関する法律 第4条 墓地以外の埋葬の禁止」
埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行つてはならない。
引用元:墓地、埋葬等に関する法律第4条
自宅の庭は墓地ではないため、もし遺骨を埋めた場合は法律違反となります。
散骨する時に「骨が飛び散りそうだから土に埋めたい」と思うかもしれません。
しかし遺骨を庭に埋めることは法律違反にあたるため、埋めないようにしましょう。
自宅の庭に散骨すると、風が吹けば他の敷地に飛んでいく可能性があります。
ご近所に内緒で散骨することもできますが、どこから話が広がるかは分かりません。
後から散骨したことが知られて、「遺骨が飛んできた家には住めない」などと言われてしまっては、対処は困難でしょう。
長く住んでいる場所であれば、ご近所さんの性格も分かっているかと思います。
もし散骨を嫌がりそうな人がいるのであれば、自宅の庭に散骨するのは避けたほうが良いでしょう。
いくら家族の遺骨といっても、自宅の庭に散骨することに抵抗がある方もいるでしょう。
抵抗を感じる家族がいるのであれば、無理に散骨してはいけません。
自分の遺骨のことで家族が揉めることは、故人も望んではいないでしょう。
もし家族に散骨に抵抗を感じる家族がいるのであれば、散骨をする前によく話し合いましょう。
散骨したいけれど、家族や近所のことを考えると「庭で散骨するのは無理そう」と感じるかもしれません。
散骨は、自宅の庭以外でも行えます。
庭での散骨が無理な場合は、他の場所で散骨するのも良いでしょう。
ここでは、自宅の庭以外で散骨する方法についてご紹介します。
海洋散骨は、海に遺骨を撒く方法です。
小型の船などをチャーターして、船の上から海へと散骨します。
故人が海好きだったり、自然に還りたいという思いが強かったりする場合に選択する方が多いです。
海洋散骨においても、散骨を行って良い場所が決まっています。
自分で執り行うのは難しいため、散骨を行う業者に依頼するようにしましょう。
業者によっては、故人を偲んで遺族で食事をするといったプランもあります。
空中散骨は、空から遺骨を撒く方法です。
人の住んでいない山間部や海に向かって、故人の遺骨を撒いていきます。
故人が空に関わる仕事をしていたり、飛行機での旅行が好きだったりする場合に選択する方が多いです。
空中散骨においても「人の住む場所の上からは散骨しない」といったルールがあります。
飛行機のチャーターを行うことも難しいため、こちらも業者へ依頼するようにしましょう。
思い出の場所を遊覧した後、遺骨を撒くといったプランもあるため、家族で故人を偲べるでしょう。
自分の所有地であれば、自宅の庭へ散骨することができます。
ただし骨の形のままだと事件化する恐れがあるため、必ずパウダー状に粉骨してから行いましょう。
散骨すると、近所に遺骨が舞い散る恐れがあります。
しかし舞い散らさないようにと考えて、遺骨を埋めてしまうと法律違反になるため注意が必要です。
自宅の庭へ散骨する場合は、家族や近所のことをよく考えてから行いましょう。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち(エンディング)を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
故人様だけでなく、ご家族様の想いにも寄り添った、散骨プランをご提案いたします。