◇お墓にかかる税金とは?固定資産税・相続税の基本を解説
日本でお墓を建てたり引き継いだりする際、税金の扱いは意外と分かりにくいでしょう。
一般的に土地や建物には税金がかかるイメージがありますが、お墓の場合は制度上の扱いが少し異なります。
本記事では「お墓に本当に税金はかかるの?」という疑問に答えるべく、主要な税の種類ごとに仕組みと注意点を解説します。
Contents
まず確認したいのが、「お墓」と「土地・建物(不動産)」という概念の違いです。
一般に税金は不動産の所有権に対して課されますが、墓地の場合は事情が違います。
墓地・霊園で購入するのは、たいてい「その土地を使う権利(永代使用権)」であって、その土地の所有権そのものではありません。
実際の土地の所有者は霊園や寺院であり、お墓の管理者側が固定資産税などを負担します。
したがって、墓地の区画を使うだけの私たち利用者には、一般的な不動産税が直接課税されることはありません。
日本の税制では、土地・家屋・償却資産に対して「固定資産税」が課されます。
これは毎年課される地方税で、土地や建物の所有者に納税義務があります。
しかし、お墓の永代使用権には土地の所有権がないため、利用者に固定資産税は課されません。
これは霊園の管理者側の税負担となります。
さらに、都市計画税(市街化区域にある土地に対して課される付帯税)も同様に、通常の墓地には課税されません。
墓地の土地同様に墓石も税法上の固定資産ではなく、利用者個人の固定資産税負担にはなりません。
一般的に「固定されているから課税される」と思われがちですが、法律上のお墓や墓石は固定資産税の対象外です。
前述にて固定資産税はかからないと説明しましたが、消費税(10%)は別の仕組みでかかります。
石材費や墓石本体の価格には消費税がかかります。
石材費、加工費、彫刻費などが含まれ、金額が高額になることも多いため、消費税分も無視できない負担になります。
墓石の据え付けや基礎工事など施工に伴う費用にも消費税がかかります。
特に地盤改良や区画整備が必要な場合は費用が増えるため、その分消費税も高くなります。
墓所の維持・管理に対して霊園に支払う管理料には消費税がかかります。
これらは、墓地や墓石に直接かかる税金ではなく、サービスの提供やモノの購入に対する消費税として課せられるものです。
一部の寺院が「護持会費」として管理費を徴収している場合、この会費が宗教活動に伴う費用とみなされ、消費税の課税対象外になることもあります。
よく聞かれる質問のひとつに、「お墓を相続した場合、相続税はかかるのか?」というものがあります。
結論から言うと、お墓自体は相続税の対象にはなりません。
これは税法上、お墓や仏壇、位牌などが「祭祀財産」として扱われ、通常の相続財産とは区別されるためです。
祭祀財産とは、故人を供養するための財産で、先祖の位牌・墓石・供物用品など、宗教的・祭祀的な意味合いをもつものが含まれます。
これらは民法でも通常の遺産分配とは区別され、相続税の計算に含めません。
祭祀財産は、相続人全員の遺産ではなく、祭祀承継者が承継するものとされており、相続放棄をしても祭祀財産だけを承継することができます。
相続税がかからない性質を活かして、生前にお墓を建立しておくことで相続財産全体を圧縮でき、結果として相続税対策になるケースもあります。
ただし、生前に購入した場合でも使った現金そのものは遺産として扱われる可能性があるため、家族間での同意や手続きが必要です。
お墓は相続税の対象外ですが、贈与税については注意が必要です。
贈与税は「個人から財産をもらったとき」にかかる税金であり、祭祀財産であっても自動的に非課税になるわけではありません。
たとえば、次のようなケースです。
年間110万円を超える贈与があった場合、贈与税の申告対象になる可能性があります。
実際には家族間の費用負担として問題にならないケースも多いですが、高額な墓石や霊園区画の場合は金額が大きくなりやすいため、慎重な判断が求められます。
特に近年は、終活の一環として子世代が費用を負担する例も増えています。
税務上の扱いが不明確なまま進めると、後から申告漏れを指摘される可能性もあるため、心配な場合は税理士に相談すると安心です。
通常の土地や建物を購入すると、不動産取得税が課されます。
しかし、墓地の「永代使用権」は不動産の所有権ではないため、不動産取得税は発生しません。
これは固定資産税と同様に、墓地の権利形態が特殊であることに由来します。
近年増えている「墓じまい」についても、直接的な税金は基本的に発生しません。
ただし、以下の費用がかかります。
これらは税金ではなく実費ですが、合計すると数十万円単位になることもあります。
新しい供養方法へ移行する場合は、総額を事前に把握しておくことが重要です。
供養の形が多様化している現代では、従来型の墓石建立以外の選択肢も一般的になっています。
それぞれの税務上の考え方も確認しておきましょう。
屋内型の納骨堂は建物内に安置する形式ですが、利用者が固定資産税を負担することはありません。
支払う費用の中心は使用料と管理費であり、サービス部分には消費税がかかります。
自然に還るという考え方を取り入れた樹木葬も人気です。
個別区画型や合祀型など形式はさまざまですが、税制の基本は従来の墓と同じです。
使用料やプレート制作費などに消費税がかかります。
墓石を持たない供養方法として注目されているのが海洋散骨です。
海への散骨は土地の取得を伴わないため、固定資産税や相続税の問題は発生しません。
費用は散骨サービスに対する対価であり、消費税の対象となります。
お墓の維持管理や承継者問題を考えると、「形ある墓を持たない」という選択は、将来的な負担軽減という意味でも現実的な方法の一つといえるでしょう。
お墓に関する税金は、一般的な不動産とは異なる特別な扱いを受けています。
固定資産税や相続税は基本的にかからず、主に関係するのは消費税です。
制度だけを見ると「思ったより負担は少ない」と感じるかもしれません。
しかし、本当に考えるべきなのは税金の有無だけではありません。
こうした視点を持つことで、はじめて後悔のない供養の形が見えてきます。
近年は、永代供養墓や樹木葬、そして海洋散骨といった選択肢が広がり、ライフスタイルや家族構成に合わせた供養が可能になっています。
特にお墓の承継者がいない場合や、子どもに管理負担をかけたくないと考える方にとっては、墓石を持たない供養方法は合理的な選択肢となります。
税金の仕組みを正しく理解することは、単なる知識ではなく、「どの供養方法が自分や家族に合っているか」を考える材料になります。
費用面・管理面・家族の想いを総合的に見つめ、自分たちにとって納得のいく形を選びましょう。
供養の形に正解はありません。大切なのは、将来にわたって無理のない方法を選ぶことです。
A. 原則として、利用者に固定資産税や都市計画税はかかりません。墓地で取得するのは土地の所有権ではなく「永代使用権」であり、土地の所有者は霊園や寺院側だからです。
A. お墓・仏壇・位牌などは「祭祀財産」として扱われるため、通常の相続財産とは区別され、相続税の計算に含まれません。
A. 固定資産税は原則かかりませんが、サービスや物品購入には消費税(10%)がかかります。また、家族間の費用負担が大きい場合は贈与税に注意が必要です。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち(エンディング)を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
故人様だけでなく、ご家族様の想いにも寄り添った、散骨プランをご提案いたします。