◇お墓から遺骨の移動方法とは?改葬の手続きや注意点について
さまざまな事情で、一度納骨を済ませたお墓から別の場所へ移動するケースがあります。
しかし「どのような手順で遺骨を移動させれば良いか分からない」という方もいるでしょう。
そこでここでは、お墓から遺骨の移動方法を解説します。
手続きや注意点についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
お墓や納骨堂に納められている遺骨を他の場所へ移動することを「改葬」と呼びます。
改葬する理由は「お墓が遠方にある」「お墓の周辺が災害の被害にあった」などさまざまです。
改葬と墓じまいの違いは、以下の通りです。
改葬 |
遺骨を移動すること |
墓じまい |
お墓を解体・撤去すること |
基本的に、墓じまいをした後に改葬します。
墓じまいは、改葬手続きの一部であるとご理解ください。
改葬の種類はさまざまです。
一般的に多いのが、遺骨全てを移動する方法です。
遺骨を全て移動する場合、墓じまいをした上で、改葬先で新たにお墓を建てるまたは別選択肢を取ります。
そのため、お墓を建てる場合には、新しい石碑を準備しなければなりません。
遺骨は、全てではなく一部だけを移動することも可能です。
この場合、墓じまいはせず遺骨を移動させます。
ただし、新しくお墓を建てる場合には、石碑の購入は必須です。
遺骨と石碑を同時に移動する方法もあります。
この場合は、新たに石碑を購入する必要はありません。
ただし、中には石碑の持ち込みを認めていない霊園や墓地があります。
そのため、事前に石碑を持ち込めるか問い合わせしておく必要があります。
分骨とは、遺骨を分けて保管・供養することを指します。
分骨する場合は、現在の墓地の管理者または火葬場から分骨証明書を発行してもらうのを忘れないでください。
ここからは改葬の手続きを解説します。
まずは、遺骨の移動先となる墓地や霊園を決めます。
遺骨の移動先が決定したら、移動先で「受入証明書」を発行してもらいましょう。
改葬する際には、いくつかの必要書類が必要です。
まずは、先述した通り改葬先から「受入証明書」を発行してもらいましょう。
その後、自治体で「改葬届」と「改葬許可申請書」の申請を行い、「改葬許可証」を発行してもらってください。
改葬のケース別の必要書類をまとめました。
災害で改葬が必要な場合 |
・同じ場所にお墓を新しく建てる:手続き不要 ・墓地を変更する:手続きが必要 |
墓じまいの場合 |
・改葬許可書 ※同じお寺や霊園内であれば、許可証は不要 |
墓地変更の場合 |
・改葬許可書 ・受け入れ証明書 |
埋葬しない場合 |
・遺骨引渡証明書 ※改葬許可書は不要 |
このようにケースにより必要書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
墓じまいや改葬する際には、閉眼供養をしなければなりません。
閉眼供養とは、墓石に宿っている仏様の魂を抜く儀式です。
「魂抜き」とも呼ばれ、仏様やご先祖様の霊魂を敬う大切な儀式となります。
閉眼供養をしたら、遺骨を取り出します。
遺骨は自分でも取り出せますが、暮石が重く大変です。
そのため、石材店へ依頼した方が良いでしょう。
石材店へ依頼する場合は、別途出張費が掛かります。
遺骨の移動先は、以下の通りです。
故人の希望や家族・親族の都合に合わせて、遺骨の移動先を決めましょう。
墓じまいして、新しく購入したお墓へ移動できます。
この際、お墓を新設する方法や石塔のみを移動させる「移設」という方法を選択可能です。
納骨堂は、建物内に遺骨を安置する施設です。
個別の小さなロッカーのような場所に遺骨を収め、必要に応じて参拝できます。
寺院が運営している納骨堂の他にも、自治体が運営している公営納骨堂や法人が運営している民営納骨堂などから選択可能です。
永代供養墓は、家族の代わりに、寺院や墓地管理者が長期的に供養する形式のお墓です。
共同の墓碑があるのが一般的で、その中や周囲に複数の遺骨が安置されます。
ただし、永代供養の遺骨の安置期間に期限を設けている場合があるため、事前に確認しておきましょう。
樹木葬は、遺骨を樹木や草花の下に埋葬する方法です。
墓石の代わりに、樹木や森が故人を象徴し、「自然に還る」という考え方に共感する方に選ばれています。
手元供養は、遺骨の一部を特殊な加工を施して装飾品などに変え、遺族が身近に置いて供養する方法です。
アクセサリーや置物など様々な形があり、「故人を身近に感じられる」と人気があります。
手元供養の場合、改葬許可申請は必要ありません。
散骨は、遺骨を粉末状にして、海や山、川などの自然の中に撒く埋葬方法です。
自然に還るという考え方に基づいており、特定の墓地を必要としません。
近年、新しい供養方法として注目されています。
こちらも改葬許可申請は必要ありません。
ただし、散骨する場所を間違えるとトラブルに繋がるため、散骨業者に依頼するのがおすすめです。
続いて、遺骨の移動方法を解説します。
さまざまな方法があるので、各家庭の都合に合った方法が見つかるでしょう。
バスや電車、新幹線などの公共交通機関で、遺骨を移動させられます。
公共交通機関で遺骨を運ぶ場合、裸のままではなくバッグや箱に入れて目立たないように配慮しましょう。
飛行機の利用もできますが、事前に規則を確認することが重要です。
遺骨を郵送することも可能です。
ただし、運送会社の中では、日本郵政のゆうパックでしか郵送できないため注意しましょう。
また、石材店が郵送してくれるサービスもあります。
到着日時の指定や追跡サービスを利用し、安全かつ確実に届くように手配しましょう。
【合わせて読みたい記事】
納骨サービスは、遺骨の移動から納骨までを専門業者が代行するものです。
専門業者は、遺骨の丁重な取り扱いや適切な輸送方法、法的手続きに精通しているため、安心して依頼できるでしょう。
最後に、改葬の注意点を解説します。
いずれも重要な内容のため、しっかり確認してください。
遺骨を取り出す際は、事前に親族や家族と話し合いましょう。
話し合いをせずに遺骨を取り出すと、トラブルに繋がる可能性があります。
もし、意見の相違が生じた場合は、互いの立場を理解し合い、意見を擦り合わせてください。
現在のお墓の管理者に改葬の意向を伝え、必要な手続きを確認します。
その後、管理者から改葬に関する規則や注意事項の説明を受け、スケジュールを調整しましょう。
スムーズに改葬を進めるため、早めの連絡と丁寧な対応を心がけてください。
遺骨の新しい移動先の選定は、改葬手続きの中で大変重要です。
家族の希望やアクセスのしやすさ、維持管理の容易さなどを考慮して決めましょう。
また、一時的に石材店に遺骨を引き取ってもらうことは不可能です。
そのため、遺骨を取り出す際は、必ず先に遺骨の移動先を決めください。
遺骨や骨壷が汚れている場合は、事前に綺麗にしましょう。
水は使わず、柔らかい布などを使い、優しく埃や汚れを取り除きます。
この作業は、故人への敬意を払うことに繋がるのです。
本記事では、遺骨の移動方法や手続き、注意点について解説しました。
遺骨の移動方法には、「公共機関を利用する」「郵送する」「納骨サービスを利用する」などさまざまあります。
事前に親族や家族と話し合い、遺骨の移動先を選びましょう。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち(エンディング)を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
故人様だけでなく、ご家族様の想いにも寄り添った、散骨プランをご提案いたします。