◇散骨のメリット・デメリットとは?検討時に知っておきたい4つのポイントについて
最近の葬儀の仕方に変化があるのをご存知でしょうか?
遺骨を粉のように細かくして、自然に還す「散骨」を選択するご遺族が増えています。
ここでは、散骨のメリットやデメリット、検討時に知っておきたい4つのポイントについてご紹介します。
また「散骨」と間違いやすい「樹木葬」との違いも解説します。
そもそも、散骨とはどのような方法なのでしょうか?
散骨は、遺骨を粉末化し、故人が希望している場所へ撒く比較的新しい葬法のことを指します。
散骨する場所は、海や山などの自然を選択される方が多いです。
散骨はなんらかの事情があって、お墓に入れない方やお墓を持つことに後ろめたい気持ちがある方によく選ばれる葬法です。
中には、散骨と樹木葬が混同している方がいらっしゃいます。
樹木葬とは、お墓と同じように遺骨を埋葬し、そこに樹木を植える方法です。
「一代限りのお墓にしたい」という故人の願いを叶えることができるでしょう。
散骨はルールを守ればどこにでも撒くことができますが、樹木葬は霊園や墓地にしか埋葬できないため注意が必要です。
それでは、散骨と樹木葬の違いを比較してみましょう。
項目 |
散骨 |
樹木葬 |
費用 |
10万円〜30万円前後 |
10万円〜70万円前後 |
管理費 |
年間管理費なし |
年間5,000円~10,000円程度 |
粉骨の必要性 |
粉骨の必要あり |
粉骨の必要なし |
供養の方法 |
遺骨を自然に撒く |
遺骨を埋葬する |
安置期限 |
なし |
あり |
お墓参り |
不可 |
可能 |
暮石の有無 |
なし |
なし |
散骨と樹木葬の一番大きな違いは、管理する必要があるかないかです。
散骨は管理する必要がなく、樹木葬は管理する必要があります。
また、樹木葬の一般的な安置期限は30年と言われています。
ちなみに、合祀された場合は管理費を支払う必要はありません。
散骨というと海をイメージされる方も多いですが、その他にも山や空で行う方法もあります。
海洋散骨は、沖合から数キロ離れた場所で行うのが一般的です。
海には管理者がいないため、トラブルが起きにくい散骨場所と言えるでしょう。
海洋散骨には、個別散骨・合同散骨・代理散骨の3種類があります。
散骨種類 |
費用 |
特徴 |
個別散骨 |
30万円前後 |
1家族のみで船をチャーターして行います。 プライベートな空間が保たれていますが、一番費用がかかります。 |
合同散骨 |
15万円前後 |
複数の家族で船を借りて行います。 人数制限があったり、日程調整を行う必要があります。 |
代理散骨 |
5万円前後 |
家族の代わりに業者が代理で散骨します。 散骨時の写真や散骨実施証明書を発行してくれる場合が多いです。 |
山の中に散骨する方法を、山岳散骨と言います。
業者に依頼する場合の費用は、20万円〜30万円前後となっています。
海よりも条件が厳しいため、山岳散骨を行っている業者が少ないのが現状です。
山の中は、国有地や都道府県所有地、個人の私有地になっていることが多いです。
もし山岳散骨を行うなら事前に所有者に許可を取ってから行うようにしましょう。
海や山以外にも、ヘリコプターから散骨する「空中葬」やロケットや人工衛星などに遺骨を乗せて宇宙へ打ち上げる「宇宙葬」、風船につけて遺骨を飛ばす「バルーン葬」などがあります。
このように近年話題になっている散骨ですが、一体どのようなメリットがあるのでしょうか?
2023年の「お墓の消費者全国実態調査」によると、お墓を購入する場合、一般墓152.4万円、納骨堂77.6万円、樹木葬66.9万円となっています。
それに比べて海洋散骨は、一番費用が高い個別散骨でも30万円前後と費用を抑えられます。
お墓を立てると管理や維持をする必要があります。
「次世代に迷惑をかけたくない」「今後お墓を維持できる人がいない」という理由から散骨を選択する方が多いです。
もし管理者が管理費を滞納し続けると、合法的にお墓を撤去されてしまうことがあるため注意しましょう。
海洋散骨などの自然葬は人工物を用いない葬送です。
自然葬には、元いた自然に還るというコンセプトがあります。
散骨は、地球環境への負担が少なく最も自然な葬送だと言えるでしょう。
海洋散骨や空中散骨を行う場合は、故人の思い出の場所を遊覧することができます。
「この海を一緒に見ているのかな?」
故人との思い出に浸りながら、セレモニーを行えるでしょう。
昔は、海や山へ散骨する方法は認められていませんでした。
現在は、ルールを守りながら故人が希望する場所へ散骨することが可能です。
最後まで故人の希望が叶えられることは、散骨の大きな特徴でしょう。
近年注目を浴びている散骨ですが、メリット以外にデメリットもあります。
現状では、お墓や納骨堂に納骨するのが一般的です。
そのため、家族や親族の間で意見の食い違いが生じる場合があります。
親族間でのトラブルを防ぐためにも、散骨をする前にはしっかりと話し合いを行いましょう。
一度散骨を行うと手元に遺骨が残りません。
そのため、遺骨の全てを散骨するのではなく、手元に一部を残す「手元供養」もおすすめです。
小さい骨壺やアクセサリーの中に入れることで、故人の生きた証を身近で感じることができます。
散骨を行う際には、後悔をしない選択をしてください。
散骨をするということは、お墓を持たないということです。
そのため、お墓参りをすることができなくなってしまいます。
お墓はなくても、ご自宅の仏壇や手元供養に対して手を合わせることは可能です。
また、散骨した場所に足を運び、手を合わせるという方法もあります。
ここからは散骨の流れをお伝えします。
これから散骨をしようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
電話や問い合わせフォームで、散骨をしたい旨を伝えましょう。
ご希望の日にちが決まっている場合は併せてお伝えください。
見積もり金額・散骨場所・日時などを確認し、業者へ申し込みます。
申し込みの際には、申込書・同意書などの書類が必要です。
他に必要な書類は以下の通りです。
住んでいる地域によっては、改葬許可証の代わりに「遺骨引渡証」や「納骨証明書」の提出を求められる場合もあります。
業者に遺骨の受け渡しを行います。
遺骨の受け渡しは、業者に直接持ち込む方法や郵送する方法があります。
業者によっては、自宅に訪問してもらい、直接受け渡しをすることもできます。
その場合は、別途料金がかかる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
散骨当日は、事前に知らされていた集合場所に集まります。
散骨後は、献花・献酒・献水を行い故人の冥福を祈り、散骨証明書などを受け取って終了です。
代理散骨を選んだ場合は、スタッフが責任を持ちお見送りをします。
後日、業者から散骨証明書や散骨の様子を撮影した写真を受け取りましょう。
散骨する際に注意すべきポイントは、4つあります。
トラブルや条例違反をしないように気をつけましょう。
親族間で意見の食い違いがある場合は、お互いが納得するまでしっかりと話し合いましょう。
ご自身で散骨を希望する場合は、元気なうちに自分の希望をご家族に伝えておくと安心です。
ご家族の遺骨をどのようにしたいかは、一人一人異なる意見があるでしょう。
もし、自分と意見が違った場合は一度冷静になり話し合いをすることが大切です。
親族のみで話し合いを行うことが困難な場合は、専門家に相談することを検討してください。
散骨をする際に一緒に撒けるのは、少量のお酒やお花のみです。
故人が大切にしていた物品は、故人と一緒に自然に還すのではなく必ず持ち帰るようにしてください。
散骨する場合は、定められているルールを遵守しましょう。
ルールの例は以下の通りです。
海水浴場や観光地などの人目が多い場所では散骨しないようにしてください。
散骨に対するイメージを悪化させないためにも、周囲の方への配慮を徹底しましょう。
また、粉骨せずに庭に埋葬してしまうことは法律違反です。
「墓地、埋葬等に関する法律」の第4条に違反してしまうため、必ず粉骨をしてください。
散骨は個人でできないことはありませんが、業者に頼んだ方が良いでしょう。
遺骨の粉末化はご遺族の心理的負担が大きいですし、間違った方法で散骨を行ってしまうリスクもあります。
また、散骨を依頼する際には見積もりの内訳を把握するようにしましょう。
疑問に思うことがあれば、納得するまで確認することが大切です。
実際に、料金が安い業者に依頼したあとに追加料金を請求されることもあります。
そのため、あまりに安すぎる業者とは契約を結ばない方が安全でしょう。
散骨は自然へ埋葬するため、散骨当日が悪天候の場合もあります。
悪天候により実行できない場合は、中止になるのか・延期になるのかを事前に確認しておくと安心です。
今回は、散骨のメリット・デメリットとは?検討時に知っておきたい4つのポイントについてご紹介いたしました。
散骨のメリットはさまざまあります。
しかし、デメリットもあるため親族間で事前に話し合うことをおすすめします。
散骨が気になった場合は、お気軽に業者へ問い合わせしてみましょう。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち(エンディング)を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
故人様だけでなく、ご家族様の想いにも寄り添った、散骨プランをご提案いたします。