◇分骨にかかる費用とは?供養別の手続きや分骨のメリット・デメリットについて
「分骨を検討しているが、どのくらいの費用がかかるのだろうか?」
「分骨は何のためにするの?」
故人を供養する方法が多様化する現代において、分骨は家族の想いを形にできる選択として注目されています。
しかし、初めて分骨を検討する場合、費用や手続きに不安を感じる方も多いでしょう。
本記事では、分骨にかかる具体的な費用相場や手続きの流れ、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
分骨に関する正しい知識を身に着け、ご家族にとって最適な供養方法を選ぶために是非参考にしてみてください。
Contents
分骨とは、故人の遺骨を複数にわけて、異なる場所や方法で供養する行為です。
「遺骨を分けるのは良くない」といった考え方もありますが、分骨は「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第5条で正式に認められた合法的な供養方法です。
同規則では、墓地や火葬場の管理者が分骨証明書を発行する義務や、埋葬時の証明書提出について明確に定められています。
分骨により、遺骨の一部を本家のお墓に納骨しながら残りを手元供養で自宅保管する、遠方に住む家族のために複数の地域にお墓を設けるといった柔軟な供養が可能になります。
その結果、故人の生前の希望や家族の事情に応じた、より意味のある供養につながるでしょう。
分骨を選択する理由は家族によって異なりますが、主に以下の3つの目的に分けられます。
手元供養は、火葬後の遺骨を自宅で保管し、日常的に故人を身近に感じながら供養する方法です。
分骨によって、遺骨の一部をお墓に納めつつ、残りを自宅で保管するという両立が実現できます。
供養の形もさまざまで、小型の骨壺やガラス製容器に納めて仏壇周辺に安置する方法から、アクセサリーに少量の遺灰を封入する方法まで、個人の価値観にあわせて選択可能です。
現代では「大事な人をいつも傍に感じていたい」「日々の生活のなかで自然に故人と向き合いたい」という想いを持つ方々に、手元供養が支持されています。
とくに、遠方のお墓への参拝が困難な状況や、より親密な供養関係を築きたい場合の供養方法として注目されています。
散骨は、火葬した遺骨を粉末状に加工して自然環境に還す供養方法で、故人の生前の意向を尊重できる方法です。
遺骨を細かなパウダー状にすることで、故人が愛した海や山などの場所で供養が可能になります。
分骨と組み合わせることで、一部を故人の希望どおり散骨し、残りを手元供養として家族のもとに残すという両方の想いを満たせるでしょう。
散骨の種類も豊富で、海へ遺灰を撒く海洋散骨、樹木の根元に埋葬する樹木葬、山間部の自然に還す山林散骨など、故人の人柄や好みに応じた選択が可能です。
従来のお墓の枠を超えた、より自由で個性的な供養を実現できるようになっています。
お墓をわけて供養することで、離れて暮らす家族が身近な場所で故人を偲べるようになります。
現代の家族構成では、兄弟姉妹が異なる地域に住んでいる場合も珍しくありません。
両親が亡くなった際、それぞれが居住地近くで供養したいと考える場合、分骨により複数のお墓を設けることで、すべての家族が無理なくお墓参りを続けられます。
とくに本家のお墓が遠方にある場合や、高齢により長距離移動が困難な方、身体的な制約でお参りが難しい方にとって、分骨は現実的な解決策となるでしょう。
分骨そのものにかかる基本費用は、分骨のタイミングや方法によって変わってきます。
ここでは、分骨に必要な項目ごとの費用相場を解説します。
骨壷代は一般的に8千円から1万円程度が目安となり、分骨する箇所分の準備が必要です。
近年の骨壷は機能性だけでなく、住環境との調和を重視したデザイン性の高い商品が増えています。
陶器製の伝統的なものから、モダンな金属製、温かみのある木製まで、素材の多様化が進んでおり、色彩やフォルムも住宅のインテリアに馴染むよう工夫されています。
こうしたデザイン性や素材の違いにより、価格帯も幅広く設定されているのが現状です。
分骨を計画する際は、何箇所にわけるかを事前に決めて、骨壷の数量を把握するようにしましょう。
各販売店のカタログで詳細を確認したうえで、総額を含めた予算計画を立てることをおすすめします。
分骨証明書の発行費用は、一通あたり100円程度と比較的安価で済みます。
分骨証明書は、火葬場または現在遺骨が安置されている墓地・寺院の管理者によって発行されます。
この書類は、遺骨を新たな場所に納骨する際の必須書類であり、法的な手続きを正当化する役割を担っています。
2箇所に分骨する場合は2通、3箇所であれば3通といったように、それぞれの納骨先に1通ずつ準備する必要があるため注意してください。
墓石を開ける費用は、2万円から3万円程度が相場となります。
既に納骨済みの遺骨を分骨する際は、墓石の蓋を移動させて骨壷を取り出す専門的な作業が必要です。
こうした作業は石材業者や寺院関係者に委託するのが一般的とされています。
開眼・閉眼供養のお布施は、3万円から5万円程度が一般的な相場です。
開眼供養は新設したお墓に故人の魂を宿らせる儀式であり、閉眼供養は既存のお墓から魂を一時的に移してもらう儀式です。
分骨に際しては、遺骨を取り出す前の閉眼供養と、新しい安置場所での開眼供養の両方が必要になる場合があります。
お布施の金額は所属する宗派や地域の慣習によって差があります。
加えて、僧侶に来ていただく際の交通費として、お車代を別途準備するのが一般的なマナーです。
お車代の金額は移動距離や地域の慣例に応じて決まるため、事前の相談で適切な額を確認しておきましょう。
分骨そのものの費用に加えて、分骨の前後にも費用が発生する場合があります。
具体的な費用は以下のとおりです。
新しいお墓を建てる場合、永代使用料と墓石代をあわせて150万円から350万円程度が一般的な相場となります。
永代使用料は、墓地の区画を代々にわたって使用する権利を取得する費用で、一度支払えば継承可能な性質を持ちます。
費用は立地条件や区画面積、運営主体により大きく変わり、50万円から150万円の範囲が相場です。
墓石代は石材費・文字彫刻・設置工事を含む費用で、デザインや石材の種類、サイズによって100万円から200万円程度が平均的な価格帯です。
高級石材や特注デザインを選択すると1,000万円を超える場合もあります。
粉骨費用は業者への依頼で1万円から4万円程度が相場です。
分骨後に遺骨を自宅で保管したり自然に散骨したりする場合、遺骨を細かなパウダー状に加工する粉骨作業が求められます。
自分で行うことも可能ですが、専用の粉砕器具一式の準備が必要で、とくに骨の硬い部分は専門機械でなければ適切に処理できません。
専門業者へ委託する場合、直接持参する場合は1万円から2万円程度、郵送による依頼の場合は2万円から4万円程度の料金設定となっています。
業者は遺骨の特性を熟知しており、衛生的で丁寧な処理を保証してくれるため、大事な方の遺骨を安心して任せられるでしょう。
散骨の費用は5万円から30万円程度と幅があります。
海洋散骨では沖合での実施が基本となるため、船舶の手配が必要です。
個人で船をチャーターするより、散骨専門業者に依頼したほうが安く済み、安全性も確保されます。
費用には船舶チャーター料金、業者のサービス料、セレモニーの有無などが含まれています。
料金体系は実施形態によって大きく異なり、自身の家族だけで実施する場合は20万円から30万円程度、複数の家族が同時に行う合同散骨の場合は10万円前後が一般的な相場です。
また、遺族が立ち会わずに業者が代行する委託散骨の場合は、5万円程度で実施できます。
分骨を実施するタイミングによって、手続きの流れが変わります。
適切な手順を理解しておくことで、スムーズに分骨を進めましょう。
火葬場で分骨する場合は、以下の手順で進めていきます。
まずは、分骨する数に応じた骨壺を用意したうえで、火葬場スタッフに分骨の意向を伝えておきます。
骨壺は遺骨の量にあわせて適切なサイズを選ぶことが重要です。
次に、通常の火葬許可証とは別に「分骨証明書」または「火葬証明書(分骨用)」を分骨先の数だけ発行してもらうように火葬場へ依頼します。
この書類は将来の納骨時に必須となるため、手元供養のみを予定している場合でも発行しておくことをおすすめします。
その後、火葬場で用意した骨壷に遺骨を納め、分骨先の担当者へ「分骨証明書」または「火葬証明書(分骨用)」を提出します。
手続きに不安がある場合は葬儀社に代行依頼も可能なため、一度確認してみてください。
埋葬済みの遺骨を分骨する場合は、以下の手順で進めます。
まず、親族間で話し合ったうえで、管理者から分骨の承諾を得る必要があります。
その後、墓地の責任者に分骨証明書の発行を依頼して、遺骨を取り出す日程を石材店と調整しましょう。
次に、閉眼供養を実施してから、専門業者がお墓を開放して遺骨を取り出します。
遺骨を事前に準備した骨壺に納め、分骨証明書とともに新しい納骨先へ提出してから、最後に開眼供養を行って一連の手続きが完了です。
分骨のメリットは、故人の遺志と家族の意向を両立させる柔軟な供養を実現できる点です。
供養方法や場所について家族間で意見がわかれた場合でも、遠隔地に住む兄弟姉妹がそれぞれ居住地で供養できるようになります。
また、お墓への納骨により遺骨が取り出せなくなることに抵抗がある場合でも、分骨によって遺骨の一部を手元や身近な場所に残せるため、精神的な安心感を得られるでしょう。
手元供養や近隣の納骨堂での日々の供養は、大事な人を失った悲しみを和らげるグリーフケアとしても機能し、心の回復を支援する重要な役割を果たします。
分骨のデメリットは、親族の理解不足と分骨先ごとに発生する費用・手続きの負担が重くなる点です。
家族・親族間では、伝統的な価値観を持つ方から「遺骨を分けるべきではない」といった反対意見が出る可能性があり、全員が納得するまで時間を要する場合があります。
理解を得られないまま進めると、後々の関係悪化につながる恐れもあるため注意が必要です。
また、分骨先の数だけ骨壺代、証明書発行費、納骨費用が必要なため、総額が予想以上に膨らむ場合もあります。
さらに、納骨後の分骨では業者との日程調整や供養の段取り、取り出し作業の立ち会いなど、複数の工程を管理する手間もかかります。
ここまで、分骨にかかる費用相場や手続きの流れ、メリット・デメリットについて詳しく解説しました。
分骨は、現代の多様化したライフスタイルに対応できる柔軟な供養方法です。
基本的な分骨費用は5万円以内に収まることも多く、火葬場での分骨であれば手続きも比較的シンプルになっています。
ただし、分骨後の供養方法によっては追加の費用が発生する点には注意が必要です。
分骨を検討する際は、故人の意思を尊重しながら、家族や親族と十分に話し合うようにしましょう。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち(エンディング)を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
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