◇納骨の時期はいつ?最適なタイミングや流れについて
火葬後の遺骨をお墓などに納骨する納骨式は、残された家族にとって気持ちに区切りをつける大切な儀式です。
しかし、納骨の時期には明確なルールが存在しません。
この記事では、納骨のタイミングを決めるポイントや納骨式の内容・方法について詳しくまとめました。
故人を心残りなく見送りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
冒頭でもお伝えしたように、納骨には明確な時期が決まっていません。
「火葬後〇〇日以内に納骨をする」ようなルールは存在しないため、家族と親族で納骨のタイミングを決めるまたは地域の風習に従うことになるでしょう。
一般的には、故人が亡くなってから四十九日経過した四十九日の法要のタイミングに納骨を行う家庭が多いです。
なぜなら、四十九日は仏教において「故人が現世から離れて来世に向かう節目」だと考えられているためです。
それまでの期間は「中陰(ちゅういん)」と呼ばれ、故人の魂はあの世ではなく現世にあると言われています。
この重要な節目である四十九日に、納骨を実施することは自然なものだと言えるでしょう。
また、悲しみに暮れた葬儀から時間が経過し、家族の心の整理に必要な期間としても四十九日は最適であると言えるのです。
納骨法要と四十九日法要を同時に実施するケースが多いとお伝えしましたが、それぞれの法要には別の意味があることを知っておきましょう。
納骨法要は、文字通り故人の遺骨を埋葬するための法要であるのに対して、四十九日法要は故人が極楽浄土に行けるように行う供養を指します。
そして、四十九日法要の後には、喪に服していた遺族は忌明けして通常の生活に戻るのです。
故人のためにお墓を建てる時・特別な理由で四十九日に納骨が難しかった時には、一周忌・三回忌などの法要に合わせて納骨を行います。
多くの場合は、何らかの法要に合わせて納骨を実施するケースが多いです。
納骨を急ぐ場合には、納骨と葬儀を同じ日に実施しても問題ありません。
現在では、葬儀と納骨式で2度親族を集めることが難しいという理由で、葬儀当日に納骨を済ませるケースが増えているのです。
ただし、納骨と葬儀の同日実施はスケジュール調整が難しく、日没までに納骨を済ませる流れを作るためには、早い時間帯に葬儀を行う・火葬場やお寺のスケジュールも合わせなければいけません。
ここでは、納骨のタイミングが決まらないと悩んでいる方に向けて、適切な納骨の時期が分かりやすい表を用意しました。
自分たちの状況に合わせて、納骨式の日程を決めてください。
納骨時期 |
向いている方 |
四十九日 |
・すでにお墓がある方 |
百か日法要 |
・これからお墓を建てる方の中でも親族との話し合いが済んでいる方 |
一周忌 |
・これからお墓を建てる方 ・家族・親族でじっくりお墓・納骨について話し合いたい方 |
新盆 |
・新盆法要を手厚く行いたい方 |
三回忌 |
・これからお墓を建てる方 ・家族・親族でじっくりお墓・納骨について話し合いたい方 ・故人とのお別れに時間をかけたいと考えている方 |
納骨の時期の決定は、慎重に行いましょう。
仏教では四十九日を故人が新たな世界に向かうタイミングだと考えていますが、宗教・宗派が違えば死後の認識も変わります。
ここでは、代表的な宗教・宗派の納骨のタイミングについて説明します。
日本の仏教の代表的な宗派である真言宗・浄土宗・浄土真宗・天台宗などは、納骨の時期について明確なルールを定めていません。
そのため、自由に納骨のタイミングを決定できますが、多くの場合は四十九日・一周忌・三回忌に合わせて納骨を実施します。
キリスト教も、納骨のタイミングについて厳格な決まりはありません。
一般的には、カトリックの場合は故人が亡くなってから1ヶ月後の追悼ミサ・プロテスタントの場合は1ヶ月後の召天記念日に納骨式を実施します。
その他にも、礼拝日の日曜日に納骨をする・7日目の追悼ミサで納骨をするなどの方法もあります。
所属する教会ごとに、独自のルールが定められているケースも多いです。
神道でも、他の宗教と同じように納骨のタイミングについてのルールを定めていません。
しかし、多くの場合は故人が亡くなってから50日目の「五十日祭」に納骨をしています。
五十日祭は仏教の四十九日と同様、忌明けの儀式です。
納骨のタイミングは家族と親族で話し合って自由に決定できますが、次の注意点を意識するべきです。
六曜は日の吉凶を判断する指標であり、中国で生まれた考え方です。
日本では江戸時代以降に浸透し、現在でも葬儀や結婚式などの冠婚葬祭は六曜を意識して日付を決定する方が多いです。
六曜の種類は、以下を参考にしてください。
六曜の考えでは、納骨は友引を避けるケースもあるようです。
六曜に関する認識や納骨と六曜の関係は、宗教のみでなく地域によって異なります。
納骨の時期が遅れる場合には、納骨まで遺骨を保管しておく場所が必要です。
自宅に遺骨を置いておくことに問題はありませんが、直射日光や湿気は避けるように注意してください。
また、自宅に遺骨を安置するスペースがない方は、一時的に納骨堂に保管を依頼するという選択肢もあります。
納骨堂であれば、保管と同時に供養も行なってもらえるでしょう。
ここでは、実際に遺骨を手に入れてから納骨の当日までの流れを詳しく説明します。
役所に死亡届と火葬許可申請書を提出し、火葬許可証を受け取ります。その後、火葬場で火葬後に埋葬許可証を手に入れます。
埋葬許可証は納骨時に必ず原本が必要になる重要な書類です。遺骨と一緒に大切に保管してください。
火葬許可証や埋葬許可証の名称は自治体によって異なるため、用途を伝えた上で案内を受けると良いでしょう。
家族・親族で話し合い、故人の納骨先を決定します。多くの場合は、納骨堂・お墓に納骨をすることになるでしょう。
また、最近では故人の希望やお墓の管理が難しいという理由で散骨を選択する家族も増えています。
親族全員が納得できる方法で、故人を供養できると良いでしょう。
次に、家族・親族で納骨の日程について話し合います。
現段階でお墓がない場合には、このタイミングで建墓を決定しましょう。
納骨のタイミング・納骨先が決まったら、僧侶・石材店などに相談をして今後のスケジュールを決めていきます。
法要が集中しやすい土日祝日に納骨を希望する場合には、早めの予約が必要です。
また、故人が既存のお墓の名義人であるケースでは、墓地の名義変更手続きを実施してください。
既存のお墓がある方は、石材店に故人の戒名・氏名・没年月日の文字彫刻を依頼します。
お墓の文字彫刻は納骨式までに完成するようにしてください。
お供物・供花・料理・お茶などを手配します。
納骨式に用意するべきものが分からない方は、お寺や霊園に相談すると良いでしょう。
特定の会場で会食を用意する場合は、事前に席順を決めておきます。
席順は上座に僧侶・隣に施主・僧侶の近くから参列者・末席に親族が座ります。
席次や座席表を用意しておくと、会食をスムーズに始められるでしょう。
納骨法要(納骨式)を実施し、遺骨をお墓に納めます。お墓を建てた場合には、同時に開眼供養も行ってください。
開眼供養とは、完成した墓石に仏様の魂を入れる法要であり、開眼供養によって墓石が供養の対象であるお墓に変わります。
納骨式は以下の流れで儀式が進みます。
地域の風習や宗教・宗派によって内容は異なりますが、一般的な流れを知っておいてください。
まずは遺族の代表である施主が、参列者にお礼の挨拶をします。
施主は葬儀の喪主が行うことが多いですが、場合によっては他の親族が施主の役割を担うケースもあります。
挨拶が終えた後、僧侶が故人の冥福を祈って読経します。
読経は墓前で行うまたは会場を変更して行われます。
お墓の下にある納骨室を開けて納骨します。
特別な処置が必要なタイプの納骨室の場合は、石材店に開け閉めを依頼してください。
納骨の方法には地域差があります。
納骨後は、僧侶が2度目の読経をします。
この読経は「納骨経」と呼ばれ、故人の魂が安らかに旅立てることを願い、仏の力を借りて祈りを捧げます。
最後に、僧侶の指示に従い墓前で焼香します。
焼香は施主が一番、その後は遺族・近親者・知人の順番で実施してください。
ここまでが一般的な納骨式の流れであり、30分〜1時間程度で終了します。
儀式の後に会食の場を設ける場合には、場所を移動して料理やお酒を振る舞います。
納骨式後の会食は、故人の思い出を語り合い静かに故人を偲ぶ場だと考えてください。
この章では、納骨に必要な費用の目安をまとめました。
納骨先・供養の方法によって必要な費用は異なりますが、以下を参考にしておくと良いでしょう。
全体を合計すると、開眼供養を含まない場合の納骨式で10万円以上の費用が必要であると考えてください。
お布施の金額目安は1万円〜5万円ですが、新しくお墓を建てた時には納骨法要と一緒に開眼供養も行うため、3万円〜10万円が相場になります。
また、親族や家族が僧侶を送迎できない時は「御車代」、僧侶が会食に参加できない場合には「御膳料」を別途5,000円〜1万円支払います。
石材店に依頼する作業には、以下のようなものがあります。
合計して、4万円〜8万円の費用が必要です。
ただし、遺族が自ら納骨可能な形状のお墓の場合には、納骨作業費用はかかりません。
納骨式の日の墓前に供えるお花やお供物の用意に必要な費用です。
多くの場合は、5,000円〜1万円程度の故人が好きだった食べ物やお花を用意します。
納骨式で会食も行う場合には、一人当たり5,000円〜1万円のお食事を用意してください。
自宅ではなく法要のために会場を借りると、法要部屋の使用料として1万円〜3万円が必要になるでしょう。
自分が納骨式に参列する際には、香典を包んで施主に渡します。
納骨式のお香典の相場は5,000円〜1万円ですが、会食にも参加する場合は会食費も考え1万円以上の金額を包んでおきましょう。
また、香典の表書きは、納骨式の時期によって変わるため注意してください。
なぜなら、仏教では故人は四十九日を節目にして仏に変わるため、表書きも変更する必要があるのです。
ただし、喪家の宗教が仏教でない場合には、香典を含む納骨式参加時のマナーを事前に調べておきましょう。
納骨式に適した服装は、納骨式のタイミングによって異なります。
納骨式に参列する予定がある方は、以下を参考にしてください。
四十九日よりも前に納骨式をする場合には、葬儀と同じ正喪服を着て問題ありません。
参列者は、ブラックスーツ・ブラックフォーマルなどの準喪服を選んでも良いでしょう。
一周忌よりも前に実施する納骨式では、準喪服を着ることが一般的です。
ただし、派手な装飾品や髪型は控えてください。
一周忌が過ぎてから納骨式を実施するケースでは、略喪服と呼ばれる黒い色のスーツやワンピースで参列します。
具体的には、グレー・紺色などの暗い色であれば、黒以外の服装で納骨式に参加できるのです。
仏教に限らずキリスト教や神道の場合でも、納骨式の時期に関して明確なルールは定められていません。
家族と親族でしっかり話し合い、適切な納骨式のタイミングを考えましょう。
より多くの参列者が納骨式に参加できるように、スケジュールを調整します。
この記事を参考に、納骨式についての知識を深めてください。
天井 十秋
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