◇散骨の種類とは?樹木葬や空中葬について
お墓を持たず、自然な形で見送って欲しいと思う方が増えてきました。家族の在り方が変化していく中で、供養の形にも変化が出てくるのは、時代の流れなのかもしれません。
今回は、散骨などの自然葬の形について、どのような種類があるのかをまとめました。
お見送りの形をどうしようか、迷っている方は是非参考にしてください。
散骨とは、ご遺骨を細かいパウダー状に粉砕して、海や山などに撒き、自然に還す供養の方法です。
核家族化が進み、お墓を維持していくことが難しくなっているご家庭が増えてきました。
埋葬した墓地から遠く離れたところに住んでいると、お墓参りをするのも一苦労です。
そこで、お墓を持たなくてもできる供養の方法として、散骨が注目されるようになりました。
子供の世代にお墓を残さないために、自分の代で墓じまいをし、自分がいなくなった後に、お墓の管理をさせるなどの負担を強いるのは避けたいとの思いから、散骨をする方もおられます。
散骨という方法は様々な理由から選ばれていますが、時代に即した供養の方法だと言えるでしょう。
さて、散骨の方法ですが、海や山にご遺骨を撒く以外にもいろいろあります。
どのようなものがあるのか、散骨の種類についてご説明します。
海洋散骨とは、海にご遺骨を撒く方法で、散骨の中では最もメジャーな方法といえるでしょう。思い出の海に撒いて欲しいという方も多く、日本だけでなくハワイなど海外でも行われています。
海に撒くといっても、海水浴場など人の多いところではできませんし、漁業関係者の人にご迷惑をかけてはいけません。そこで、専門の業者に依頼して、船をチャーターし、迷惑のかからない沖合まで出て散骨をします。
散骨の方法ですが、1家族のみで船をチャーターしてゆっくりと散骨をする場合と、いくとかのご家族が合同で船に乗り、一緒に散骨をする場合があります。
前者は貸切乗船散骨といい、費用の相場は20~30万円程度です。ただし、船の大きさによって費用は変わってきます。
後者は合同乗船散骨といい、費用は10~20万円と、個別散骨よりは低めです。
ご自身で散骨場所まで行けない場合は、代行委託散骨といって、業者に散骨を依頼することも可能です。代行委託散骨でしたら費用も低めで、おおよそ5万円前後でできるでしょう。
山林散骨は、山でご遺骨を撒く方法です。しかし、海とは違い、山には所有者がいます。自分が好きなところで巻くことはできませんので、ご注意ください。
例えば、登山が好きだったから山林に撒きたい!と思っても、所有者がいますから、勝手なことはできません。また、自治体によっては、その土地に散骨をすることを条例で禁止しているところもありますので、注意が必要です。
そこで、山林散骨を専門に行っている業者に依頼して行うのが一般的です。
業者は散骨ができる専門の土地を用意しておりますので、誰に気兼ねすることなく、ご遺骨を自然に還すことができるでしょう。
山林散骨の費用は5~10万円程度です。
墓地を購入して、そこに墓石を建てて供養する方法が一般的ですが、暮石の代わりに目印となる木を植えるのが樹木葬です。
散骨とは少し違いますが、自然を愛する方に人気のある埋葬方法です。
墓地のように、決められた区画を購入して木を植える場合と、里山など極力自然な形で埋葬する場合があります。
里山タイプですと、かなり郊外へ行かないといけないため、住んでいる場所によっては、お墓参り少し大変かもしれません。
費用は、場所にもよりますので一概にはいえませんが、およそ30~70万円程度です。郊外か都市部か、合祀か個別に埋葬するかによっても違いが出ます。
空中葬とは、その名の通り、空中にご遺骨を撒く方法です。
撒く方法には2種類あり、
ヘリコプターや小型飛行機で空から撒く
大きなバルーンにご遺骨を入れて飛ばす
というものです。
空中散骨と呼ばれることもありますし、バルーンを使う方法は、そのまま「バルーン葬」と呼ぶこともあります。
費用ですが、どちらの方法を取るかによって、かなり差が出ます。
飛行機などの乗り物を使う場合には、もちろんチャーター費用も必要ですし、操縦士などのプロがいないと困りますよね。
その分普通の散骨方法と比べると割高で、30~50万円ほどかかります。これはお一人あたりの価格で、同行する人の人数が増えると、その分費用もプラスされます。散骨の中では費用が高めですが、墓地を購入して維持管理していくこと比べると、かなり費用が抑えられます。
ただし、海洋散骨とは違い、飛行機などの乗り物はそれほど大人数で乗り込むことはできません。家族で行くとしても、ほんの数人程度で参加することになります。
バルーン葬は、大きくて丈夫な風船にご遺骨を入れて、成層圏まで飛ばします。風船といっても、子供が遊ぶような、すぐ割れてしまうゴムの風船ではなく、気球のようなものをイメージしていただくと良いでしょう。
目に見える範囲ではバルーンは割れません。高度30km以上の成層圏に到達してからバルーンが破裂し、ご遺骨が空に舞っていきます。
空中というよりも宇宙に近い場所なので、バルーン葬を宇宙葬と捉える方もいらっしゃいます。
バルーン葬は、バルーンを打ち上げるための場所を確保することが必要ですし、同時に、打ち上げた後にバルーンの進路を邪魔するような建物がない場所であることが求められます。
そのような広い土地がある場所でないとできないので、都心ではなかなか難しい方法ですね。
費用は、空中散骨よりはやや低めで、20~30万円程度が相場です。
宇宙葬は、散骨の方法の中でも、まだまだメジャーな方法だとはいえません。
それはやはり、ロケットを使うという方法なので、費用もかかりますし、そう簡単に、日常的にできる方法ではないからですね。
日本ではできませんので、専門業者を通じてアメリカで行うことが多いです。
宇宙葬にもいくつかプランがあって、価格もそれぞれ違います。
普通に打ち上げるだけですと、どこに行ってしまうかわかりませんが、人工衛星に乗せた場合は常に地球の周りを周回することになります。今どこを回っているのか、位置がわかるので、「今このあたりにいるのかな」と空を見上げながら、故人を偲ぶこともできますね。
散骨の種類はいろいろあります。何度もできることではありませんので、どの方法がふさわしいか、ご家族でよく話し合って決めてください。
ご家族も、そして故人にも満足していただけるような散骨の方法を見つけましょう。