◇散骨の費用はどのくらいかかる?散骨方法や注意点などを解説
故人の大切なお骨を取り扱う際に散骨を選択する方もいます。
散骨にはさまざまな方法があり、散骨をする場所によって費用も異なります。
また、散骨をする際は周囲に気を配るなどマナーを守って行うのも大切です。
今回は散骨の費用相場や散骨方法、注意点などを詳しくご紹介します。
Contents
散骨とは、火葬後の遺骨を粉骨し海や山などの自然に還す供養方法です。
散骨の種類に合わせた専門の業者があり、近年では故人が生前親しんだ場所で散骨をしたい方が増えています。
散骨の際に一部を手元で供養し保管する方法もあり、故人やご家族の思いを大切にしながら供養できるのがポイントです。
散骨の種類は、主に以下の通りです。
海洋散骨は、海に故人の遺骨を撒いて供養する散骨方法で、多くは沖合で行われ海洋散骨専門の業者を利用して行います。
漁場や海水浴場漁場などを避けて散骨をする必要があり、どこでも好き勝手に散骨できるわけではありません。
山林散骨は、山や森で散骨する供養方法で、多くは散骨可能な山林を管理している業者を利用して行います。
山は私有地が多いため、海洋散骨と同様に好き勝手に遺骨を撒くことはできません。
また、個人で散骨をする場合は、天然記念物や生態系などに配慮した散骨を心がけましょう。
空から散骨する方法は空葬散骨と言います。
飛行機やヘリコプターを使用したり、バルーンに遺骨を乗せて成層圏まで飛ばして散骨したりなどの方法があります。
宇宙散骨は、ロケットに故人の遺骨を乗せて宇宙で遺骨を撒く方法です。
他の散骨に比べて多額の費用がかかるため、実例が少ないのが特徴です。
散骨をすること自体は、法律違反にはなりません。
そのため、お骨を海や山などに散骨したいと考える方は安心して行えるでしょう。
しかし、地域によっては散骨場所を限定している場合もあるため注意が必要です。
散骨は自治体での手続きは不要ですが、散骨場所に関して各自治体で細かくルールが定められている場合があります。
そのため、故人の思い出の場所だからと、勝手に散骨をするとトラブルを招く恐れがあるでしょう。
散骨を検討する方は、散骨希望の地域の自治体に確認をするようにし、必要に応じて専門業者に散骨の依頼をしましょう。
散骨の方法ごとに費用相場をご紹介します。
散骨方法により費用相場が異なるため、予算に合わせて選択するのもおすすめです。
海洋散骨の種類は、主に以下の表の通りです。
海洋散骨の種類 |
サービス内容 |
かかる費用相場 |
注意点 |
個人(貸切型)散骨 |
1家族で1隻 |
15万円~50万円 |
金額が高め |
合同散骨 |
複数家族で1隻を乗り合い |
10万円~20万円 |
乗船定員に 限りがある |
委託(代理)散骨 散骨代行サービス |
家族は乗船しない 散骨業者が代行して散骨 |
5万円~10万円 |
散骨状況が 確認しにくい |
個人(貸切)散骨は、燃料費や交通費を1家族ですべて負担するため、他の散骨方法に比べて金額が高い傾向があります。
しかし、他の家族に気を遣わなくても良い点やスケジュールも立てやすいなど、自由度が高いのが大きなメリットです。
合同散骨は、複数の家族で1隻を利用するため、個人(貸切)散骨に比べ費用が抑えられます。
ただし、個人(貸切)散骨と同等の船で散骨するパターンが多く、1家族の乗船人数が限定されるでしょう。
また、定員が不足すると出航しない業者もあるため、希望や予定通りの日程で散骨ができない可能性もあります。
委託(代理)散骨は散骨代行サービスとも呼ばれ、家族に代わって散骨業者が散骨を行うプランです。
直接現地に行かなくても散骨ができ、費用も低額であることから家族の負担が少なく近年注目されています。
散骨時の様子を撮影し写真を提供するサービスなどを実施する業者もありますが、きちんと散骨が行われているか直接確認できないため、信頼できる業者選びが重要なポイントです。
海外で海洋散骨をすると、散骨費用だけでなく渡航費、滞在費などもかかります。
場所によっては、100万円以上かかるケースもあります。
どこで散骨するかだけでなく、どのくらいの費用で散骨を行うかを慎重に検討しましょう。
山林散骨は5万円から高くても20万円ほどで散骨ができ、1家族ごとに行うパターンが一般的です。
海洋散骨と違い船の費用がかからないため、低額で行えるのが魅力の1つですが、散骨可能な山林にアクセスするのに交通が不便な場所が多く、送迎費が別途かかる場合があります。
山林散骨選びでは、業者のプランをよく確認しましょう。
空葬散骨の費用相場は約20万円から50万円です。
空葬散骨はヘリコプターで行うため、船を借りるよりも高額な傾向にあります。
バルーンに遺骨を乗せて空へ散骨するバルーン葬であれば山林散骨ほどの料金で実施できるでしょう。
宇宙散骨をする場合、100万円以上かかります。
散骨したい遺骨を人工衛星やロケットに搭載し宇宙まで運ぶため、どの散骨方法よりも高額になります。
最低でも100万円のため、時期やプランなどにより数百万円かかる場合もあるでしょう。
散骨をトラブルなく進めるには大切なルールを守る必要があります。
それぞれについて詳しく説明します。
散骨前に必ず行わなければならないのが「粉骨」です。
粉骨とは、火葬後の遺骨を粉状に細かく砕くことを言います。
粉骨をせずに遺骨を散骨した場合は、「死体遺棄罪」に該当する場合もあります。
また、粉骨の費用は遺骨の量や粉骨にかかる時間により変動しやすく、機械よりも手作業での粉骨の方が高くなります。
業者に粉骨を依頼する際は、散骨プランに粉骨料金が含まれているか、遺骨の洗浄や乾燥を行ってから粉骨をするかなどをチェックするのがおすすめです。
【参考】刑法第190条 死体損壊等
すでに埋葬されている遺骨を取り出して散骨をしたい場合は、「改葬許可証」が必要です。
上記の書類がないと、埋葬後の遺骨の散骨はできないため注意しましょう。
改葬許可証は、埋葬したお墓がある地域の役所で発行可能です。
埋葬後に散骨を検討する方は、故人のお墓を管理する市区町村の役所に改葬許可証を申請してください。
【参考】港区役所 改葬許可証の交付申請
墓標を建てると、建てた場所は「墓地」の扱いになります。
墓地は法的な許可が必要なため、散骨した場所に勝手に墓標を建てる行為は「無許可の場所を墓地にした」とみなされ法律違反に該当します。
トラブルを招かないためにも、散骨場所に墓標を建てる行為は控えましょう。
【参考】墓地、埋葬等に関する法律 第5条
費用を抑えて散骨や粉骨を済ませたい方は、業者を利用せず個人で行う方法もありますが、デメリットが多いので注意が必要です。
散骨や粉骨を個人で行った際に考えられるデメリットは、主に以下の通りです。
硬く扱いが難しい遺骨を粉状まで粉砕するには、多くの時間や労力がかかるでしょう。
また、精神的負担も大きいため、個人で粉骨を行うケースは少ないのが現状です。
ルールを無視した散骨は、近隣住民とのトラブルになる可能性もあります。
散骨をスムーズに進めたい方は、散骨の専門業者を利用するようにしましょう。
ポイントを押さえた業者選びをすれば、トラブルを防いで散骨ができるでしょう。
それぞれについて詳しく説明します。
散骨業者を選ぶ際は、1社のみで決定するのではなく、複数の業者を比較しましょう。
業者によって、サービス内容がそれぞれ異なります。
利用者に寄り添ったプランで行うところもあれば料金を安くして手軽に行うところもあります。
複数の業者を比較すれば散骨の相場を把握でき、より最適なプランを選べるでしょう。
業者選びは2~3社を比較して検討するのがおすすめです。
散骨業者選びでは、プランや料金の詳細を詳しく提示している業者を選びましょう。
散骨のプラン内容は各業者によって個性があり、料金設定もそれぞれ異なります。
例えば、タクシー代などの交通費は個人負担にする業者もあれば、無料送迎サービスを実施している業者もあります。
また、業者によっては土日祝日の料金は高めに設定している、粉骨料金は別途かかるなどの違いもあります。
散骨業者の多くは、ホームページでプラン内容や費用に関する情報を公開しており、電話での相談も実施しています。
散骨プランや価格だけでなく、内訳の詳細もしっかりとチェックしましょう。
散骨業者を決める際は、電話や対面時に話したときの対応が丁寧な業者を選ぶのがおすすめです。
より最適なプランを提案してくれる業者やこちらの状況を察して丁寧に対応してくれる業者は、契約後も細かな配慮ができるため信頼感や安心感があります。
逆に、話を親身に聞いてくれず営業ばかりかけてくる業者は、契約後も利用者に寄り添った対応は期待できません。
故人のお骨を大切に扱ってくれる丁寧な業者を選びましょう。
散骨をするときは、さまざまなマナーを守る必要があり、厚生労働省により定められている「散骨のガイドライン」に沿って散骨をしなくてはなりません。
散骨のガイドラインの内容は、主に以下の通りです。
ガイドラインに違反している業者は、散骨時にさまざまなトラブルを招くでしょう。
マナーを守る業者かを見極めて散骨業者を選択できるのが望ましいです。
【参考】厚生労働省 散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)
海洋散骨を選んだ場合、海は広くどの場所で散骨をしたのか把握しておくのは難しいでしょう。
「散骨証明書」があれば、いつ、どの地点に散骨をしたのかが明確になり、すぐに思い出すことができます。
また、再訪したいときにも散骨証明書があれば、場所を特定しやすく便利です。
どこに散骨したのか親族に聞かれてもすぐに答えられるのも嬉しいポイントです。
散骨した場所を忘れないためにも散骨証明書の発行ができる業者を選ぶと良いでしょう。
散骨はどの場所でもできるわけではなく、地域や管理場所などにより散骨可能な場所が決まっています。
また、海洋散骨に特化した業者や山林散骨のみ受付をしている業者など散骨プランの提供方法はそれぞれの業者により異なります。
散骨の場所にこだわりがある方は、希望の場所で散骨ができるかをホームページや電話での問い合わせで確認しましょう。
散骨をする前に確認するべき注意点があります。
散骨後のトラブルを防ぐためにも大切な点のため、以下の項目をしっかりと確認しましょう。
散骨をする前に大切なのは「本当に散骨をしても良いのか」を家族や親戚などでよく話し合うことです。
散骨への意見が賛否両論あるように、家族の意見もそれぞれ異なるでしょう。
全員が納得したうえで散骨の話を進めなければ、のちに家族間で衝突したり親戚関係に亀裂が入ったりなどのトラブルが起こる場合も。
事前にしっかりと話し合うことで、散骨後のトラブルを防ぐことにもつながります。
家族や親戚でよく話し合ってから散骨をしましょう。
散骨は海や山などに粉骨した遺骨を撒き、供養します。
砕いた遺骨は骨と確認できないほどの粒子状です。
また、粉骨後の遺骨を散骨すると、どこに撒いたか分からないでしょう。
そのため、あとから「遺骨を手元に残しておきたい」と思っても撒いてしまった遺骨の回収は難しいでしょう。
遺骨を墓地で管理したい方には散骨は適さないため、よく考えてから散骨を決めましょう。
散骨時に気をつけるべきポイントは、主に以下の3つです。
それぞれについて詳しく説明します。
散骨では、環境に配慮した散骨を心がけなければいけません。
環境に配慮した散骨方法は、主に以下の通りです。
散骨は自然に配慮した方法で行いましょう。
お墓には故人の思い出深い品や飲食物などを飾ることができますが、散骨では環境に影響が出るようなお供えを用意するのは難しいです。
自然に還らないものは生態系へ悪影響を及ぼす危険があるため、散骨時の副葬品に適していません。
散骨時にどうしてもお供えをしたい場合は、一定時間経過したら回収をするなどし、業者や地域のルールを確認しよく相談した上で行いましょう。
【参考】厚生労働省 散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)
散骨は環境への配慮だけでなく、散骨場所の周辺に住む住民への配慮も大切です。
厚生労働省が定める「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」では、散骨を行うにあたって地域住民などへの配慮に関する記載があります。
ルールを無視した散骨は、その地域で暮らす住民にとって不快に感じるでしょう。
散骨でトラブルを招かないためにも、周辺に配慮した散骨を心がけるのが大切です。
【参考】厚生労働省 散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)
散骨時は、喪服を着用するのは避けましょう。
喪服で海や山にいると、散骨をしていると一目で分かります。
散骨に対しては意見が賛否両論あり、中には不快に感じる方もいるでしょう。
散骨時の服装は、平服で清潔感を出しましょう。
海や山は歩きにくい場所もあるため、ヒールよりもスニーカーなどが適しています。
また、風が吹いても安心で動きやすいパンツスタイルがおすすめです。
遺骨の供養の1つに「散骨」があります。
海洋散骨で20万円ほど、宇宙散骨では100万円を超えるなど場所によって費用が異なるのが特徴です。
地域や業者などで散骨できる場所が限られているため、自己判断で勝手に散骨をするとトラブルに発展する場合も。
散骨をする際は、周辺住民への配慮を忘れずにマナーを守って行いましょう。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち(エンディング)を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
故人様だけでなく、ご家族様の想いにも寄り添った、散骨プランをご提案いたします。