◇海洋散骨に許可は必要?不要?知っておくべきルールや法律について
近年、新しい供養方法として注目されているのが「海洋散骨」です。
自然に還りたいという故人の思いを叶えるために希望する人が増えています。
しかし、法律的な問題はある?違法にならない?など法律やルールに関する不安を抱えている人も少なくありません。
そこで、ここでは海洋散骨に許可が必要かどうか、関係する法律やガイドライン、マナーやルールについて分かりやすく解説します。
大切な人を安心して見送るために、ぜひ参考にしてください。
Contents
海洋散骨とは、火葬後のご遺骨を粉骨し、海に撒く自然葬の一種です。
お墓を建てる代わりに、海で故人を見送るスタイルは、自然に還りたいという故人の思いを叶えられる供養方法として人気があります。
一般的には海洋散骨業者に依頼して、遺族立ち合いで行われますが、立ち合いが出来ない場合は業者に委託することも可能です。
散骨のやり方そのものに関する海の法律はないですが、海の交通ルールに関する法律はあります。
陸上の道路のよう
海洋散骨にはいくつかの実施方法があり、予算やご遺族の希望、参加人数に応じて選ぶことができます。
ここでは、海洋散骨の主な方法を3つ紹介します。
個別散骨とは、家族・遺族・友人などが船を貸し切って行う散骨のことです。
故人の親しい人のみで同じ船に乗り込んでお別れができるため、ゆっくりと故人を偲ぶことができます。
ただし、他の方法と比べて費用が高くなることが多いです。
合同散骨とは複数の家族が同じ船に乗って順番に散骨を行う方法です。
個別散骨よりも費用を抑えつつ、立ち合いもできるバランスの良い方法として人気があります。
ただし、他のご家族と同乗するため、ある程度の配慮が必要です。
委託散骨とは、業者が遺族に代わって散骨をする方法です。
忙しくて参加できない方や遠方の方、高齢などの理由で同乗できない方に選ばれています。
費用は他の方法と比べて最も安く、実施後に証明書や写真が送られることが多いです。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあるので、ご家族で相談して散骨の方法を選ぶことが大切です。
お墓の後継者不足、費用の問題、さらには自然葬への関心の高まりなどの理由で、海洋散骨を希望する人が増えています。
伝統的なお墓に関する価値観が変化している中で、自然に還りたい、家族の負担になりたくないという思いで、生前から海洋散骨を希望している方も多いです。
基本的に、海洋散骨には国や行政への許可が必要ではありません。
散骨そのものについての法律はなく、厚生労働省も「節度を持って行われる限り問題ない」という見解を示しています。
ただし、自治体によっては許可が必要な場合もあります。
個人で散骨をする場合は、事前に自治体のルールを調べておきましょう。
散骨は許可が不要で自由な供養方法ですが、だからといって何をしても良いというわけではありません。
散骨を規制する法律はありませんが、関連する法律がいくつかあるので、ここでは散骨に関連する主な法律を3つ解説します。
刑法190条では、「死体、遺骨そのほかの遺体を遺棄したものは罰せられる」とされています。
つまり、散骨をすること自体は法律違反となりませんが、遺骨を粉骨せずに撒くと遺棄罪にあたる可能性があるということです。
散骨をする場合は、必ず「粉骨」をしておく必要があります。
埋葬法とは、墓地や埋葬に関する法律です。
この法律では遺骨の埋葬や納骨は墓地で行うことが規定されています。
しかし、散骨は埋葬にあたらないため、この法律の範囲外です。
つまり、散骨は墓地以外の場所でも行うことができるということを示しています。
海洋汚染防止法とは、船舶からの有害物質の投棄や廃棄物の遺棄を規制する法律です。
つまり、海洋散骨の際にプラスチック容器や遺品など海に悪影響を与えるものを流すことは法律違反となるということです。
海洋散骨の際には自然に還るものを使用するなど、環境への配慮が必要です。
海洋散骨には法的な許可が不要ですが、実施の際にはマナーやルールが存在します。
その指標としてよく示されるのが厚生労働省や日本海洋散骨協会の散骨に関するガイドラインです。
ここでは、散骨に関するガイドラインの主な内容を解説します。
粉骨とは、火葬後のご遺骨を2㎜以下の粉状に細かく砕く作業のことです。
ガイドラインではご遺骨を必ず粉状にしてから散骨することが明記されています。
粉骨をする理由は、ご遺骨がそのままの状態で撒かれると遺骨遺棄と誤解される可能性があるためです。
また、粉末にすることで自然に還りやすくなり、環境への配慮にもなります。
散骨をする前には必ず粉骨をしましょう。
粉骨は必ず業者に依頼しなければいけない作業というわけではありません。
自分でも行うことができる作業ですが、思っているよりも精神的・物理的に辛い作業と感じる人が多いので、業者に依頼することをおすすめします。
散骨業者のほとんどが粉骨も行っているので、散骨を依頼する業者に粉骨も任せるとスムーズです。
海洋散骨は自然環境に配慮しながら行いましょう。
ご遺骨を粉骨するのはもちろん、献花や献酒を行う際も自然分解できるような素材を使用することが大切です。
また、ビニール袋・プラスチック製のお供えは海洋汚染の原因となるため控えましょう。
海洋散骨を行う場合は場所選びに注意しましょう。
散骨する場所としては、人目につきにくい沖合のエリアを選ぶことが大切です。
漁場・海水浴場・港などは避け、地元住民や漁場関係者への迷惑とならないように配慮しましょう。
海洋散骨業者の多くは、適した場所を把握しているので、トラブルにならないポイントを選んでくれます。
参考:厚生労働省ガイドライン
一部の自治体では散骨に関するガイドラインを独自に定めています。
散骨業者は自治体のルールやガイドラインに詳しいため、業者に依頼する場合はそれほど気にする必要はありませんが、個別で行う場合は自治体のルールも確認しておきましょう。
ここでは、自治体が示している散骨に関してのガイドラインをいくつか紹介します。
参考:南阿蘇村環境美化条例
このように、自治体によって散骨についてのガイドラインが制定されています。
自治体によってルールが異なるので、事前にしっかりと調べてから行いましょう。
散骨は法律に縛られない自由な供養方法という印象が強いですが、周囲の人々や自然に配慮しながら行うことが大切です。
ここでは、散骨を行う際の主なマナーを解説します。
散骨に関しての考え方は人それぞれです。
散骨という供養方法に抵抗がある人もいるので、親族間でしっかりと話し合って同意してから行う必要があります。
話し合いなしで勝手に行うと、後に親族間トラブルとなることもあるので注意しましょう。
海洋散骨に喪服で参加するのはおすすめできません。
動きやすい平服(落ち着いたカラーの服装)での出席が一般的です。
その理由は、喪服姿のままで海辺を歩いたり、船に乗っていたりすると周囲の人々を不安にさせる可能性があるからです。
また、海は揺れたり濡れたりすることがあるので、動きやすくて安全な服装が求められます。
散骨の際に献花や献酒、または手紙を添えることがありますが、全て自然に還る素材であることが原則です。
献花をする際は、茎や葉を取った花びらだけを撒き、献酒の場合は色が薄くてアルコール度数が低いものを選びましょう。
また、手紙は水に溶ける紙に書くことが大切です。
自然の中で行う儀式なので、自然に配慮した形で行いましょう。
海洋散骨を行う際は、人目につかない沖合で行うのが原則です。
具体的には港・漁場・海水浴場・観光名所の近くは避けましょう。
これは、他の人に不快感や誤解を与えないための配慮であり、トラブルを避けるためにも大切です。
自治体によって独自の基準を設けていることもあるので、事前にしっかりと調べておきましょう。
海洋散骨は法的な許可が不要ですが、個人で全てを執り行うのは非常に難しいです。
特に散骨の場所選びを間違えてしまうと、大きなトラブルに発展することにもなるため、注意が必要です。
散骨業者であれば、散骨に関するルールやマナーに詳しく、トラブルになりにくい海域についても詳しいため安心して任せることができます。
思い出に残る散骨式にするためには、どのような業者に依頼するかが重要なポイントとなります。
なかには高額な費用を請求して違法な方法で散骨をしている業者もいるので、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
ここでは、信頼できる散骨業者を選ぶためのポイントを解説します。
信頼できる業者は厚生労働省や日本海洋散骨協会のガイドラインに沿ってサービスを提供しています。
具体的には、遺骨を粉骨する、人目に付かない場所で行う、などのルールを遵守しているかどうか確認しましょう。
ルールを守った散骨をしていない業者はモラルや安全面で不安があるため避けることをおすすめします。
信頼できる業者は料金体系が分かりやすいことが多いです。
中には、基本料金が安くてもオプション費用や追加費用が多く発生する業者もいるので注意しましょう。
また、見積もり書に粉骨代、交通費、証明書発行費など細かな内訳が記載されているかも重要なポイントとなります。
見積書は金額だけではなく書き方にも注目しましょう。
信頼できる業者を選ぶためには過去の実績や口コミ・評価を確認することが大切です。
公式サイトで過去に行った散骨件数や対応年数を確認しましょう。
また、実際にその業者による散骨を行った人の口コミや評価は大変参考になります。
SNSや評価サイトの書き込みや評価も確認してみましょう。
トラブルの報告が少ない業者を選ぶと安心です。
初回の問い合わせでの対応は、その業者の姿勢をよく表しています。
質問に対して丁寧に答えてくれるか、こちらの事情や希望に沿ってくれるかなどを確認しましょう。
遺族の気持ちに寄り添ってくれる業者を選ぶと、思い出に残る散骨式を迎えられることが多いです。
海洋散骨は法律的な許可が不要な供養方法ですが、だからといってルールやマナーがないというわけではありません。
厚生労働省や自治体などのガイドラインに従って節度のある方法で行う必要があります。
また、周囲の人を不快にさせないような配慮を持って、自然を守りながら行うことも大切です。
散骨を行う際には信頼できる業者に依頼しましょう。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち(エンディング)を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
故人様だけでなく、ご家族様の想いにも寄り添った、散骨プランをご提案いたします。