◇散骨に伴う粉骨とは?業者の選び方や費用相場とは?
近年では、散骨に注目が集まっています。
散骨と聞くとなんとなく「山や海に遺骨を撒く」というイメージをお持ちかもしれません。
もちろんイメージは間違っていませんが、散骨する際には、遺骨を粉末状に粉骨しなければいけないなどいくつかのルールがあります。
この記事では、粉骨の業者の選び方や費用についてご紹介します。
散骨に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
Contents
今まではお墓を建てて埋葬するのが一般的でしたが、お墓を建てたとしても、少子高齢化の影響で墓守をする人がいないため、近年は埋葬に対する考え方が多様化してきています。
その中でも、散骨を選択する方が増えています。
散骨とは、故人の遺骨を山中や海、空、宇宙などに撒く埋葬方法です。
散骨をする際には、粉骨しておかなければいけないというルールがあります。
粉骨とは、遺骨をパウダー状にすることです。
遺骨の原型をとどめず、一辺の長辺が2mm以下にしておくことが目安とされています。
遺骨を粉砕する作業は、遺族の気持ちなど負担がかかることが予想されます。
それなのに、なぜ粉骨をしなければいけないのでしょうか。
それは遺骨を骨だと分かる状態で散骨すると場合によっては遺体を遺棄したことになり、法律に抵触してしまう恐れがあるためです。
刑法第百九十条の「遺体遺棄罪」
“死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。”
また骨だと分かる状態で散骨した場合、海や山中で第三者の目に触れる恐れがあります。
もし遺骨が発見された場合は警察に通報されるため、事件化してしまうでしょう。
そのため散骨する場合は、必ず粉骨して骨と分からない状態にしなければなりません。
粉末状態にした遺骨は、節度を守って散骨すれば供養にあたり、法律違反にはあたらないと解釈されています。
散骨をしたくても、粉骨する方法が分からないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、粉骨する方法について解説していきます。
粉骨は、事前の手続きは特に必要ないため、自分で行うことも可能です。
まずはビニール製の手袋をつけて、骨壺から遺骨を取り出します。
ステンレスのバッドなどに広げて、銀歯などの金属があれば取り除いておきましょう。
遺骨だけの状態になれば、道具を使って骨を砕いていきます。
袋に入れてハンマーなどで叩いて砕いた後、すり鉢などを使ってパウダー状にしていきましょう。
道具がないという方は、粉骨するための道具がセットになった粉骨キットを購入するとよいでしょう。
また業者から粉骨機をレンタルすることも可能です。
ただし、自分で粉骨を行うと、それなりの時間がかかることを頭に入れておきましょう。
1日で終えられると思って散骨の直前に行うと、間に合わない可能性もあります。
また遺族が家族の骨を自分で砕くというのは、精神的にもとても辛い作業になるでしょう。
他人に骨を触らせたくないといった特別な理由がない限り、粉骨専門の業者に依頼することをおすすめします。
自分で粉骨できないという方は、業者に依頼すると良いでしょう。
粉骨を専門に行っている業者に依頼すると、遺骨を綺麗に粉骨してくれます。
専用の機械で粉骨を行う業者であれば、粒子を均一に素早く粉骨してもらえます。
遺骨が機械で砕かれることに抵抗がある方は、手作業での粉砕を行っている業者がおすすめです。
本当にきちんと粉骨してくれるか不安な方のために、なかには粉骨の作業に立ち会える業者もあります。
遺骨をどのように粉骨してもらいたいかを考えて、業者を選んでいきましょう。
粉骨は自分でも行えますが、業者に依頼するといくつかのメリットがあります。
ここでは、4つのメリットをご紹介します。
故人が亡くなった悲しみが癒えないままに自分の手で遺骨を砕くことは、心理的に大きな負担がかかります。
また自分で粉骨する場合は、粉骨用の道具が必要になります。
そういった道具をずっと手元に置いておくことも、心理的な負担になるかもしれません。
業者に依頼すれば、そういった心理的な負担を減らせます。
また粉骨は意外と力のいる作業です。
遺骨の粉が飛び散るため、作業場の確保も必要となってきます。
外では他の人に見られる恐れがあるため、人の目に触れない場所の方が良いでしょう。
業者に頼めば、そういった場所や労力も軽減できるのがメリットと言えます。
粉骨は思った以上に難しい作業です。
火葬した骨はすぐに砕けるイメージがあるかもしれませんが、実はなかなか細かくならない硬い部分も残っています。
そのため綺麗なパウダー状にするには、かなりの力がいります。
また粉骨は作業中に粉末も舞います。
遺骨から取り出す際や、粉砕する時に煙のように空中に漂ってしまいます。
そのため、室内で行うと、片付けは大変になるでしょう。
業者に頼めば部屋を汚すことなく、きれいにパウダー状にしてくれるので便利です。
粉骨は思った以上に力のいる作業です。
自ら手作業でやる場合は、何日もかかってしまうこともあります。
業者であれば、機械を使用することや、手作業でも経験が豊富なため、短時間で済むでしょう。
また依頼をする際に、何日までにできるといった目安があれば、散骨の日程を組みやすくなるのもメリットです。
火葬後の遺骨は、微量な六価クロムという有害物質が含まれていることがあります。
六価クロムは癌の原因にもなるといわれている物質で、自分で処理すると吸い込んでしまう恐れがあります。
粉骨の業者であれば、六価クロムの量を測定することが可能です。
もし有害な量が含まれているようであれば、無毒化してから粉骨してくれます。
粉骨を業者に依頼する費用は、依頼内容によって異なります。
おおよその相場は1万円~5万円です。
ここでは、業者に依頼した場合の費用感と内訳についてまとめていきます。
作業費用は、骨壺の大きさによって変わってきます。
おおよその費用は、下記のとおりです。
機械よりも手作業のほうが、手間はかかるため、費用が高めに設定されています。
どういった形で粉骨してほしいかを考えて、業者を選びましょう。
骨壺の大きさ |
作業費用(機械) |
作業費用(手作業) |
~3寸(直径9.5cm) |
7,000円~10,000円 |
10,000円~12,000円 |
4~5寸(直径12.5~15.5cm) |
11,000円~13,000円 |
15,000円~20,000円 |
6~7寸(直径18.2~21.7cm) |
16,500円~20,000円 |
20,000円~30,000円 |
墓じまいなど、すでに埋葬した遺骨を取り出して粉骨する場合は、遺骨に土が混ざっていたり時間の経過で湿っていたりすると、きちんと粉骨ができないため、乾燥・洗浄作業が必要です。
乾燥費用は5,000円〜10,000円、洗浄費用は20,000円〜30,000円が相場となります。
粉骨に立ち会いたい場合は、別途料金が必要な場合があります。
相場はおおよそ5,000円〜10,000円です。
大体の業者が予約制となっているので、事前に確認しておきましょう。
粉骨は大切な故人の遺骨を預けるので、きちんとした業者に依頼したいですよね。
しかし業者が数多くあるため、どの業者を選んでよいか分からない方が多いでしょう。
ここでは、業者選びのポイントについてお伝えしていきます。
まずは会社の情報について確認しましょう。
インターネットで様々なサービスを販売するためには、会社の住所や連絡先を明示しておかなければいけません。
そのためホームページに住所や連絡先が記載されていない場合は、違法な業者の可能性があるため、依頼をするのはやめておきましょう。
もし住所が書いてあっても、実際は店舗がない場合もあります。
遠方のため郵送で粉骨を依頼する場合は、店舗に足を運ぶのはなかなか難しいでしょう。
そういった場合はGoogleマップで住所を検索して、実店舗があるかを確認してみましょう。
実店舗があれば、どのような場所で粉骨されるのかが分かるため安心です。
粉骨を専門ではなく、副業として請け負っている業者がいます。
粉骨をメインに行っていない業者は遺骨についての知識が乏しく、きちんと作業が行われない場合があります。
粉骨を依頼する場合は、なるべく専門業者に頼みましょう。
専門の業者であれば、遺骨についても詳しいため安心して任せられます。
喉仏といった場所を分けて粉骨してもらうこともできるでしょう。
粉骨は近年広がったもので、近隣に詳しい方がいない場合が多いです。
そのため業者の評判を調べるには、インターネットの口コミが手掛かりとなります。
Googleマップで調べると、実際に業者に依頼した方が評価して、口コミを記載している場合があります。
口コミの評判が著しく悪い場合は、その業者へ依頼するのは辞めておきましょう。
評判が良く、具体的にどのような対応が良かったかが書いてある口コミなどがある業者を選ぶと良いでしょう。
郵送のみしか受け付けておらず、粉骨の立ち会いを不可にしている業者は注意が必要です。
立ち会いを断る業者は、粉骨を行う場所や方法を遺族に知られたくないという可能性もあります。
逆に立ち会いを快く了解している業者は、きちんとした行程で粉骨をしているということです。
そのため粉骨を依頼する場合は、立ち会い可能な業者にすると良いでしょう。
もし実際は立ち会いができなかったとしても、立ち会い可能と明記されている業者の方が安心して依頼できます。
料金体系についても確認しておきましょう。
例えば最低料金しか記載していないような業者だと、粉骨した後に追加料金を請求される場合があります。
粉骨の料金は、骨壺の大きさによって設定されているのが一般的です。
骨壺の大きさを確認して、できれば事前に見積もりをとっておきましょう。
この際、料金が「一律〇〇円」といったように安く設定されている場合も注意が必要です。
粉骨の作業は一定の手間や時間がかかるため、異常なまでの格安で行うのは難しいです。
あまりに格安の場合はきちんとした手順で粉骨していない場合があるので、注意しましょう。
粉骨するのは、初めての方が多いでしょう。
依頼前にたくさんの不明点が出てくるはずなので、親身に相談に乗ってくれる業者を探しましょう。
もし店舗に行かずインターネットで申し込む場合は、事前に電話してみましょう。
対応が丁寧できちんと話を聞いてくれる業者であれば、安心して粉骨を任せられます。
業者が見つかった後は、いよいよ依頼をしなければいけません。
ここでは、粉骨の流れについてまとめています。
信頼できる業者が見つかったら、粉骨を申し込みましょう。
電話かWeb上で申し込める業者がほとんどです。
骨壺の大きさや立ち会いの有無を調べて、自分の希望を叶えられる業者へ依頼しましょう。
もし散骨の日程が決まっている場合は業者に伝えておき、それまでに粉骨を終わらせるように予定を立てましょう。
業者に渡す書類を揃えます。
必要な書類は、主に下記の3つです。
火葬許可証は、市区町村役場の窓口で発行できます。
死亡届を提出するのと合わせて、火葬許可申請書を提出して、不備がなければその日のうちに発行されます。
粉骨同意書は、粉骨に同意したことを示す書類です。
大抵の場合、業者が書類を用意しているので、必要事項を記載する形になります。
粉骨してもらう遺骨を業者へ引き渡します。
この際、引き取りに来てもらえる場合や直接業者に持ち込む場合、郵送する場合などの引き渡し方法があります。
業者によって方法が違うので、事前に確認しておきましょう。
業者に遺骨を渡したら、粉骨作業に入ります。
立ち会いを希望の場合は、事前に予約して日時を決めておきましょう。
業者によっては、立ち会いの際に故人の写真を飾ったり、CDを持ち込めば希望のBGMを流してくれたりするサービスを提供しているところもあります。
引き渡しから約10日〜2週間後、粉骨された遺骨が返却されます。
業者によって郵送で返却の場合もあれば、来館して手渡しで返却する業者もあります。
どのような形で返却されるのかについても、申し込み時にきちんと確認しておきましょう。
散骨する際に遺骨を粉骨しないといけないのは、これまでに説明した通りです。
そのため粉骨の業者を自分で探そうとする方も多いでしょう。
しかし、事前に散骨を業者に依頼している場合は、注意が必要です。
なぜなら散骨のプランに粉骨作業が含まれている場合があるためです。
もしすでに散骨のプランを業者に予約しているのであれば、粉骨作業がプランに含まれているかを確認してみましょう。
散骨をするには、遺骨をパウダー状に粉骨しなければいけません。
特に免許などはいらないため、遺族が自分の手で粉骨することも可能です。
しかし粉骨は精神的・肉体的にも負担のかかる作業となります。
特別な理由がない限り、業者に依頼したほうが良いでしょう。
きちんと粉骨されるか不安な方は、立ち会い可能な業者もあります。
故人と悔いのないお別れをするためにも、自分が納得できる形で粉骨しましょう。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち(エンディング)を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
故人様だけでなく、ご家族様の想いにも寄り添った、散骨プランをご提案いたします。