◇無縁墓とは?増加の背景や課題、無縁墓を避けるためにできること
日本では全国的に無縁墓が増加しており問題となっています。
無縁墓が増えた背景には少子高齢化、核家族化、都市部への人口集中、経済的な理由が挙げられます。
無縁墓の増加は墓の荒廃だけでなく文化的な問題や精神的な問題にもつながる重要な課題です。
そこでここでは、無縁墓が増加している背景やその課題点、無縁墓を減らすための予防策を紹介します。
これからお墓を世話していく方、墓じまいを考えている方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
無縁墓(むえんばか・むえんぼ)とは、管理者がいなくなったお墓や維持費を支払う人がいなくなったお墓のことを言います。
無縁墓が増えると墓地管理者の負担が大きくなるため、法的な手続きをすれば無縁墓とみなして処理できるように法律化されました。
日本では無縁墓が増えてきていますが、その理由は一体何なのでしょうか。
ここでは、日本で無縁墓が増えてきている背景を紹介します。
無縁墓が増えている主な原因としてお墓の後継者不足が挙げられます。
お墓の後継者が不足している理由はさまざまですが、最も大きな影響を与えていると言われているのが少子高齢化です。
日本ではこれからも少子高齢化が加速していくと考えられているため、この問題はさらに加速していくことが予想できます。
地方にあるお墓を世話できないというケースが増えていますが、その主な原因は都市部への人口集中です。
働き盛りの若者の多くが地方を離れて都市部で就職して生活しているため、地方の過疎化がどんどん進んでしまっています。
その結果、お墓と家の距離が離れすぎていることによって物理的にお墓の管理や世話ができないケースが多いようです。
本来であれば家族や子どもがお墓を継承しますが、維持費を支払えない場合や支払えたとしても支払いたくないという人もいます。
誰が維持費を支払うのかで揉めてしまって放置されるケースも少なくありません。
維持費が支払われない状態が続くと、無縁墓として扱われてしまいます。
一昔前は「家を継ぐ・先祖代々の墓を守る」というような考え方が一般的でした。
しかし家制度が廃止されたことからこのような考え方が徐々に薄れだし、供養に対する考え方も多様化しています。
このように供養の形が増えたことも無縁仏が増えた原因の一つです。
日本において無縁墓は「墓地・埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」に基づいた手続きで正式に処理することができます。
無縁墓として正式に認定されたお墓は撤去され、合葬*されることが多いです。
*合葬…他人のご遺骨と一緒に埋葬されること
無縁墓はこれからも増えることが予想されますが、無縁墓の増加にはどのような問題があるのでしょうか。
ここでは、無縁墓が増えることの課題点を解説していきます。
無縁墓が増えると定期的な管理や清掃が行われないため、墓が荒れてしまいます。
無縁墓が増えて荒れた状態のお墓は景観が悪くなり、虫や蛇などが出ることも多く、周辺住民からのイメージも悪くなってしまいます。
実際に墓地の4割以上が無縁墓という墓地もあり、その管理や周辺環境への影響が不安視されています。
一般的に墓守がお墓の維持費を支払いますが、無縁墓になると維持費を支払う人がいなくなってしまいます。
実際に無縁墓が増えて維持費の支払いが減ったことによって、運営が厳しくなっている墓地も少なくありません。
無縁墓が増えていくことで、先祖を敬うという日本に古くから根付いている考えが希薄化していく可能性があります。
お墓で手を合わせることによって先祖を偲ぶという文化を後世まで残していくためには、お墓を大切にするイメージを子どもたちに残していくことが大切です。
無縁墓になるとお墓を管理している施設の負担になるだけでなく、大切な親や先祖のご遺骨の行方まで分からなくなってしまうことがあります。
無縁墓にしないためにも家族や親族で話し合い、新しい供養の方法を探っていくことも大切です。
ここでは、無縁墓にしないための予防策を2つ紹介します。
お墓が地方にあるため世話が難しいという場合は、お墓の引っ越しをするのがおすすめです。
お墓との距離が近くなれば管理や世話がしやすくなり、故人との距離も近くなります。
無縁墓になる前に墓じまいをするのもおすすめです。
墓じまいとは、お墓を解体・撤去してその土地をお墓の管理者に返すことを言います。
墓じまいをした場合は、お墓に埋葬されていたご遺骨を新しい形で供養する必要があります。
無縁墓になることを防ぐために行われることが多い墓じまいですが、墓じまい後には新しい供養を行う必要があります。
ここでは、墓じまい後に行われることが多い供養方法をいくつか紹介します。
永代供養とは、施設の管理者が家族や親族に変わって供養していくという方法です。
この場合、最初に費用を支払うため維持費や管理費が発生することはありません。
供養方法は施設によって異なり、合祀(他の人と合同でご遺骨を納める)のみを扱う施設や個人で利用できる施設などさまざまです。
散骨とは、故人のご遺骨を海や山などの自然に撒く供養方法です。
故人を自然に還すことができる供養方法として注目されています。
日本では海洋散骨が最もさかんで、専門に扱う業者も増えているので、散骨をする場合は業者に依頼するのがおすすめです。
手元供養とは、故人のご遺骨を自宅などで保管する供養方法です。
いつでも故人を近くで感じられるとしてこの供養方法を選ぶ人が増えています。
最近はアクセサリーなどにご遺骨の一部を入れて身に付ける方も多いです。
樹木葬とは、墓石の代わりに木や花を墓標とする供養方法です。
墓標となる木の下にご遺骨を埋葬するという形の施設や、ご遺骨を埋葬した後に木を植える形の施設などがあり、施設によって内容が異なります。
維持費が必要ない施設がほとんどですが、場合によっては維持費が必要なこともあるので事前に確認しておきましょう。
いくら家族や親族であってもお墓の話はなかなかしづらいかもしれません。
しかし、無縁墓になってしまうと施設に迷惑がかかるだけでなく、大切な方々のご遺骨を放置してしまうことになります。
お墓をこれからどのように維持するのか、誰が世話をするのか、墓じまいをするのか、墓を移動させるのか、について話し合ってみましょう。
無縁墓とはお墓の世話をする人や維持費を支払う人がいなくなってしまったお墓のことを言います。
最近は少子高齢化や都市化が原因で、日本全国で無縁墓が増えて問題になっています。
無縁墓になるのを防ぐためには事前に家族で話し合っておくことが大切です。
最近は供養の方法も増えているので、ご家族みんなが故人を偲びやすい新しい供養方法を選択するのもおすすめです。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち(エンディング)を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
故人様だけでなく、ご家族様の想いにも寄り添った、散骨プランをご提案いたします。