◇水葬や海葬とは?海や川に送り出す供養の歴史と近年の形について
水葬とは、海や川などにご遺体をそのままの状態で流し沈める葬儀の方法を言います。
近代の日本では基本的に行われていない葬儀方法ですが、海外の一部地域では今も水葬を実施している地域もあります。
また、条件を満たせば日本でも水葬を行えますが、自己判断でご遺体を流した場合は罰せられるため注意が必要です。
そこで本記事では、日本の水葬の歴史や世界の水葬事情、近年人気の葬儀の形などについて解説します。
海などで行う葬儀方法に興味のある方や故人と海や川でお別れをする方法をお探しの方は、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
「水葬」と聞いても多くの方はあまり馴染みがないのではないでしょうか。
現在、日本では火葬が一般的ですが、昔は水葬が一般的な葬儀方法として行われていました。
特に万葉集が流行した時代に多く実施されていました。
※万葉集には水葬の様子が記述されています。
また、日本各地で行われている「灯篭流し」や「精霊流し」などは、昔の水葬文化の名残りと考えられています。
水葬の種類は主に「海葬」と「舟葬」に分類されます。
水葬の種類 |
方法 |
海葬 |
ご遺体に手を加えず、そのままの状態で海や川に直接流す方法 |
舟葬 |
ご遺体に手を加えず、そのままの状態で小さな舟に乗せ海に流す方法 |
昔は、「海の向こうには死者の国がある」と信じられていました。
そのため、亡くなった方を海に流す海葬が誕生したと言われています。
また、他国では、土葬した亡骸を掘り起こして川や海に流すケースもあります。
舟葬は、舟を使用して海に流すのが海葬と異なる点です。
舟葬は主に、小舟が棺の役目を果たすタイプと小舟を亡骸に見立てるタイプの2種類に分類されます。
舟葬は、インドのガンジス川で使われていた葬儀方法と言われています。
現在の日本では、基本的に水葬による葬儀方法は用いられていません。
遺体を火葬したり粉骨したりせずそのままの状態で海に流す行為は、刑法第190条「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。」に該当します。
水葬を無断で行った場合は「死体遺棄罪」として刑罰を受けなくてはなりません。
海や川の水質汚染にもつながるため、故人のご遺体を自己判断で海や川に流す行為は避けましょう。
【参考】刑法 第百九十条(死体損壊等)
日本では、基本手に水葬は禁止されていますが、条件を満たせば違法行為とみなされず実施可能な場合もあります。
日本における水葬の条件は、主に以下の通りです。
上記の条件を満たし、船長の指示があれば水葬を実施することができます。
上記条件が揃わず、勝手な自己判断で遺体を海に流すと罪に問われます。
また、医師が同船している場合は死亡診断書を作成し、さらに以下の条件を満たす必要があります。
儀礼の気持ちを持って行うなどの条件を満たして法に従って、船長の権限による水葬を行う必要があります。
この形の水葬は日本だけでなく世界で行われている儀式です。
【参考】船員法第十五条
水葬が認められている国は、主に以下の通りです。
国により水葬への考え方などが異なります。
各国の葬儀方法や水葬事情などを詳しく説明します。
インドで有名なガンジス川流域で行われています。
ガンジス川は「神聖な場所」としてヒンドゥー教徒の間で大切にされています。
故人が天国へ導かれる場所と信じられているため、水葬が行われる理由の1つでしょう。
また、インドでは火葬も行われていますが、貧困者も多く費用の支払いが難しいといった背景もあるようです。
そのため、火葬せずにご遺体を流す水葬を選ぶ方が多いことも考えられます。
チベットでは伝染病で亡くなった方や貧困者に対して水葬が行われる場合があります。
遺体を牛で運び、お経を唱えたあとに儀式を行う流れが一般的です。
また、海のない地域では天葬が行われるケースもあります。
チベットで行われる天葬は、遺体をハゲワシなどに食べさせる方法です。
自然との調和に重視を置くチベットならではの葬儀方法と言えるでしょう。
アメリカでは水葬が許可されているため、条件を満たせば誰でも水葬の利用が可能です。
主な条件は、以下の通りです。
また、ご遺体をアルカリ液に浸して処理する「アルカリ加水分解葬」が近年注目を集めています。
数時間かけてご遺体を液状化させる新しい水葬方法で、有害ガスが発生しない点や大気汚染に影響を与えない点など環境に優しいとされています。
以前はノルウェーやスウェーデンでも水葬が行われていました。
しかし、衛生上の問題などにより現在では水葬を用いた葬儀方法は避けられています。
イギリスでは火葬が主流ですが、海洋散骨などの水葬方式であれば海に流すことができます。
現在の日本では水葬は禁じられており、勝手に実施した場合は違法行為とみなされ罰せられます。
しかし、「海洋散骨」を利用した海での供養方法であれば違法にはなりません。
水葬はご遺体をそのままの状態で海に流します。
海洋散骨では遺体を火葬後粉末状にしたものを海に流すため、環境破壊の影響が少ないのが特徴です。
海洋散骨は誰でも行うことができます。
海に思い出のある方や海が好きだった方とのお別れの場におすすめです。
海洋散骨のメリットは、主に以下の通りです。
一般的な葬儀をした場合、お墓が必要になります。
お墓をつくるにはお金がかかり、管理やお墓参りを数年続ければ出費も増えるでしょう。
しかし、海洋散骨では海に粉末状の遺骨を撒くため、遺骨を保管するお墓の用意が必要ありません。
また、海洋散骨のなかでも遺族の代理で業者に散骨をお願いする「代理プラン」や複数の遺族で船に乗り合わせる「合同プラン」などを利用すれば、海洋散骨にかかる費用をより減らすことが可能です。
また、遺骨の一部は手元に保管しながら海洋散骨をする方法もあります。
それぞれの希望にあったプランで故人と気持ちよくお別れをしましょう。
水葬はご遺体を海や川に直接流す方法をいい、方法の違いによって海葬や舟葬などに分類されます。
近年の日本では禁止されていますが、海外では現在でも行われている地域もあります。
海や川で故人とお別れする方法をお探しの方には海洋散骨がおすすめです。
遺骨を粉骨してから海などに撒くため違法にならず罰せられません。
葬儀方法を検討する際は、亡くなられた方の思いを尊重できる選択を心がけましょう。
天井 十秋
10年以上に渡り、全国の海域で散骨を行って参りました。
故人様の旅立ち(エンディング)を「より良く、より自分らしく」をモットーに、1,000名様以上もの供養をサポート。
故人様だけでなく、ご家族様の想いにも寄り添った、散骨プランをご提案いたします。